今大会は各プールで大会序盤から好ゲームが相次ぎ、中には1つのアウト、1つの失点が1次ラウンドを突破するか否かを左右する試合も少なくなかった。
侍ジャパンも1次ラウンドから苦戦…
激戦続きだったのは、侍ジャパンも例外ではない。初戦の台湾戦こそ序盤に打線が爆発し、13-0(8回コールド)という一方的な試合となったが、それ以降は思わぬ苦戦を強いられた。2試合目の韓国戦は初回に3点を許す厳しい展開でスタート。3回までに侍ジャパンが逆転したものの、その後も一進一退の攻防を繰り広げ、最後は2点差で勝利したが、手に汗握る白熱した試合だった。
それでも侍ジャパンは、3試合目のオーストラリア戦を前に早くも決勝トーナメント進出を決め、残す“格下”のオーストラリア・チェコという理想的な状況で1次ラウンドの折り返しを迎えた。
ところが、3試合目のオーストラリア戦は6回に先制を許し、7回途中まで1点を追いかけるよもやの展開。終盤に打線がつながり逆転し、何とか1点差でしのぎ切ったものの、薄氷の勝利だった。
侍ジャパンの試合運びに残る不安
さらにチェコとの最終戦はお互い無得点のまま8回裏を迎える緊迫した投手戦。メジャー経験のない選手がほとんどという格下チームを相手に大いに苦しめられた。8回に周東佑京(ソフトバンク)と村上宗隆(ホワイトソックス)の本塁打などで一挙9点を奪い、勝利を収めたものの、決勝トーナメントに向けて不安の残る試合運びだったと言わざるを得ない。
侍ジャパンはチェコとの試合を前に1位通過を決めており、主力を温存していたという事実もあるが、それはあくまでも言い訳。準々決勝以降は、メジャーの一線級の投手たちと対峙することになるため、初回からエンジン全開で立ち向かわなければいけない。
4連勝を飾ったものの、打線がもう少し打てないことには連覇も見えてこないだろう。
大谷翔平がベンチスタート…井端采配に広がる波紋
そして、チェコとの試合後、“9-0で辛勝した”侍ジャパンには試合運びとは違う側面で批判の声も上がっていた。それが、指揮を執る井端弘和監督が多くの主力野手をスタメンから外したことである。
他にも鈴木誠也(カブス)がスタメンを外れ、メジャートリオの中で唯一、先発出場した吉田正尚(レッドソックス)も第3打席で代打を送られ、お役御免となった。
さらにファンが大いに残念がったのが、大谷が代打でも出場しなかったことだ。SNSなどでは「終盤になれば1回くらい大谷を打席に立たせるだろう」など、楽観の声も上がっていたが、結局、鈴木とともに最後まで出場機会がなかった。
大谷欠場の理由は「MLBシーズン配慮」
試合後、井端監督は大谷の欠場について、「MLBのシーズンが始まったときの疲労も考慮して、移動もあるので欠場にしました」とコメント。WBCではなく、MLBのシーズンを考慮しての決断だったようだ。これには「井端監督が選手を第一に考えているということで安心しています」「優勝を目指す上で、これ以上の采配はない」「所属チームから預かる監督としては100点(の采配)だと思う」など、選手のコンディショニングを一番に考えた井端監督を絶賛する声も多かった。
「大谷を休ませる」ドジャースとの密約があった可能性も
しかしその一方で、井端監督の無情の決断を否定する意見も少なくなかった。「せめて代打で大谷選手を見たかった」「プレミアムチケットをゲットして、楽しみに試合を見に行ったら、大谷と鈴木を1打席も見られず……。落胆して帰路に着いた大勢のファンや子供たちが気の毒過ぎる」「WBCは本気の勝負でもあるけど、野球の裾野を広げるためのエンターテインメントでもあるべき。率直に残念の一言しかない」など、大谷を目当てに駆けつけたであろうファンの心中を慮る声も散見された。
ただ、井端監督に最終的な決定権があったかは不透明だ。「1位通過が決まっていれば、大谷を休ませる」といった密約的なものが、ドジャースとの間でなかったとも言えないだろう。
泣いても笑っても侍ジャパンは最大で3試合を残すのみ。ここからはベストメンバーで臨み、侍が一丸となって全力を尽くすのみだ。
文/八木遊(やぎ・ゆう)
【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。
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