2024年7月、ロケバスの車内で女性に性的暴行を加えたとして、不同意性交などの罪に問われている、お笑いトリオ「ジャングルポケット」の元メンバーの斉藤慎二被告(43)に対する初公判が、3月13日に東京地裁(伊藤ゆう子裁判長)で開かれた。
 16日に公開した前編では、検察側が示した犯行当日の状況や、斉藤被告の具体的な発言内容などを紹介した。
後編では、これに対して弁護側がどのような主張を展開したのか、今後の審理の見通しについて詳しく見ていく。

弁護側は「同意があった」と主張

元ジャンポケ斉藤慎二被告「ロケバス事件」で実刑は不可避か…「...の画像はこちら >>
 改めて弁護側の主張を整理する。弁護側は、冒頭で改めて「斉藤さんはAさんの意に反する行為をしようとも思っていませんでした」と強調。詳細な弁解をはじめた。

 犯行当日、既にロケバスの車内で待機していた斉藤被告の前にAさんが現れると、「はじめまして、今日はよろしくお願いします」と挨拶をした。その後、Aさんは斉藤被告の前の座席に腰をかけると、後ろを振り返りながらたわいもない会話を交わした。

弁護側が語る“キスまでの経緯”

 20歳近くも離れている二人だが、次第に親しい雰囲気になっていくと、Aさんの顔が近づいてきたという。弁護側は第1の犯行(Aさんの両肩を手でつかんでキスをして、右胸を揉むなどしたとされる犯行)について、こう説明する。

「斉藤さんは、Aさんは自分に好意を持ってくれて、キスすることを受け入れていると思い、キスをしました」

 さらにキスをした直後、Aさんはこのように発言したため、性的行為への同意があったと説明する。

「嬉しいです。今日一日頑張れます、幸せです」

 その後もAさんが斉藤被告の性的行為を受け入れている様子だったことから、再びキスをしたり、服の中に手を入れて右胸を揉んだりしたという。

最も重い「不同意性交」の罪の詳細

 そして今回、斉藤被告が起訴された罪名の中で法定刑が最も重い「不同意性交」の罪。弁護側は、事細かに弁解していた。

 犯行前、予定されていた撮影が終わり、斉藤被告は着替えをするためにロケバスに戻った。ほどなくして、Aさんが車内に乗ってきたとのこと。
「あれ、もうAさんはバスに乗る用がないはずだけどな」。そう考えた斉藤被告は、「Aさんが自分と一緒にいたい」と思い込んでしまったという。

 そして斉藤被告は、あろうことか仕事で使っていたロケバスの車中で、Aさんと10秒間にわたって口腔性交をした。

 検察側は斉藤被告の犯行態様について、「Aさんの頭を手でつかんだ」などと強制的に性的行為に及ばせたと悪質さを指摘する一方で、弁護側はAさんは抵抗したり拒否したりしていないと反論していた。

 テレビ番組の収録が終わり、斉藤被告がロケバスから降りようとしたとき、こんな出来事があったと弁護側は振り返る。

「斉藤さんが『今日はありがとうございました』と言ってロケバスから降りようとしたら、Aさんの方から斉藤さんにキスをしました」

実刑は不可避か

元ジャンポケ斉藤慎二被告「ロケバス事件」で実刑は不可避か…「好意を持ってくれていると思ってキスをした」弁護側が全面反論
3月13日(金)、初公判時の東京地裁前。289人の傍聴希望者がわずか20席の傍聴席を求めて列ができていた/筆者撮影
「実刑も十分あり得る」

 昨年3月の在宅起訴の後、一部ではこのように報じられている。実際、この事件をめぐっては当初から最悪の出だしだった。

 特に、刑事裁判で裁判官が量刑を判断するにあたっては、被告側の酌むべき情状も考慮される。

 その情状酌量を求める要素として、よく用いられているのが「示談」である。被告側と被害者側の示談が成立すれば、有利な情状として考慮され、「実刑回避」となることも多い。

 そんな肝心な示談の有無について、初公判で弁護側はこのように言及していた。

「斉藤さんは自分の行為を振り返り、反省すべき点があったと考えています。Aさんに謝罪を申し入れ、示談の交渉をしました」

 ただ、弁護側は初公判では「示談が成立したか」については触れておらず、今後の公判で説明するとしている。


次回の裁判は17日(火)に指定

 斉藤被告に対する初公判は、約55分で閉廷に。退廷時、斉藤被告は裁判官らに浅く一礼をしたのち、ドアの奥に消えていった。

 この裁判では、弁護人は3名、検察官も2名とまさしく双方が臨戦態勢に入っている。

 今後の審理でAさんが証人として出廷する予定であり、双方で食い違うやり取りや斉藤被告の犯行の悪質性などを証言するものと思われる。

 真夏のロケバス車中で起きた、到底“笑い”では済まされない白昼の情事。次回の公判は17日(火)に指定されている。

文/学生傍聴人

【学生傍聴人】
傍聴歴7年、傍聴総数1000件超。 都内某私立大の大学院に在籍中の現役大学院生。趣味は御神輿を担ぐこと。高校生の頃から裁判傍聴をはじめ、有名事件から万引き事件など幅広く傍聴している。その他、裁判記録の閲覧や行政文書の開示請求も行なっている。
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