警視庁本部の課長だった男性警視正(60)が不機嫌ハラスメントで、昨年末に警務部長注意の処分を受けていたことが判明した。周囲からは「反論すると不機嫌になる」などの証言が上がったという。
不機嫌な態度で周囲の環境を悪化させる「フキハラ」は、新たなハラスメントの形として関心を集めている。
放送作家の鈴木おさむ氏は、不機嫌な態度は単なる性格や気分の問題ではなく、職場の空気を支配し、人のやる気を奪うハラスメントだとみる。そして、リーダーに必要なのは能力や論理だけではなく、「機嫌の管理能力」なのではないかと思うと訴える(以下、鈴木氏による寄稿)。

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リーダーの資質なし!? 理由なき不機嫌がチームを崩壊させる

不機嫌ハラスメント、略して「フキハラ」を理由に、部下100人以上を持つ警視正が処分を受けたという。長年にわたり職場環境を悪化させたと認定されたそうだ。僕は以前から、パワハラやセクハラも問題だが、実は「不機嫌」というのもかなり大きな問題だと思ってきた。

例えば会議室。みんなで普通に話していた中で、あとから上司が入ってくる。その顔つきや雰囲気で「あ、今日は不機嫌だな」とわかる瞬間がある。すると、会議室の空気は一変する。みんなその人の顔色をうかがいながら会議を進めるようになる。不思議なのは、その人がなぜ不機嫌なのかは明かされないことだ。理由は誰も知らない。
ただ、その人の口からため息が出た瞬間、部屋に緊張感が走る。不機嫌というのは、ものすごく強い場の空気の支配力を持っている。怒鳴るわけでもない。暴言を吐くわけでもない。でも、その場にいる人のやる気や魂をじわじわ削っていく。

そして一番問題だと思うのは、不機嫌でいることが「パフォーマンス」になっている人が多いこと。つまり、自分が不機嫌な態度を見せることで、場を支配しようとしている。無言でマウンティングしている。

不機嫌を見せることで場を支配する人の厄介さ

人間だから、もちろん機嫌が悪くなることはある。でも、不機嫌というものは、隠そうと思えばある程度隠せるものだと思う。もちろん、我慢していてもふとあふれてしまう不機嫌はある。それは仕方ない。
でも厄介なのは、わざと「不機嫌な様子を見せる」人だ。これが本当に職場の空気を壊す。

その人がいるだけで、みんなが余計な仕事をすることになる。本来の仕事ではなく、「機嫌を読む仕事」をしてしまう。無駄な時間と労力。今日は機嫌がいいのか。今このタイミングで話しかけていいのか。この話題は地雷じゃないか。そんなことを考えながら働く職場が健全なわけがない。

僕はこれまで多くの現場を見てきたが、チームが壊れるときの原因は、能力不足よりも「空気の悪さ」であることが多い。そしてその空気をつくっているのは、だいたい一人の不機嫌な態度だ。怒鳴る上司は、今の時代すぐ問題になる。
でも、フキハラはグレーゾーンのまま放置されやすい。だからこそ厄介だ。リーダーに必要なのは、能力や論理だけではない。実は「機嫌の管理能力」なのではないかと思う。

チームをマネジメントする前に、まず自分の機嫌をマネジメントする。もしそれができないなら、その人はリーダーになるべきではない。不機嫌は、立派なハラスメントなのだから。

鈴木おさむが警鐘!職場を壊す「不機嫌ハラスメント」の正体とリーダー失格の条件
鈴木おさむ
<文/鈴木おさむ>

【鈴木おさむ】
すずきおさむ●スタートアップファクトリー代表 1972年、千葉県生まれ。19歳で放送作家となり、その後32年間、さまざまなコンテンツを生み出す。現在はスタートアップ企業の若者たちの応援を始める。コンサル、講演なども行っている
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