接客業において、最大の悩みは「カスハラ(カスタマーハラスメント)」を行う迷惑客の存在だ。なかでも幅広い世代が訪れるコンビニでは、従業員への理不尽な言動が深刻な社会問題となっている。
今回、北関東で10年近くコンビニを経営する高橋彰人さん(仮名・39歳)に話を聞いた。代々引き継いだ土地を守るオーナーとして、自らも店頭に立つ高橋氏が遭遇した、想像を絶する現場の修羅場に迫る。
「バイトの分際で生意気だ!」店員に商品を投げつけた高齢男性の...の画像はこちら >>

レジ袋有料化や箸にキレる迷惑客

近年、特にトラブルの火種となりやすいのがレジ袋やお箸の配布ルールだ。高橋氏の店舗でも、希望者のみに配布する運用に激昂する客が後を絶たない。

「お箸が必要かお尋ねするだけで『手で食べろというのか、なめているのか』と説教されることもあります。レジ袋有料化に納得がいかず、いまだに無料にしろと要求されるお客様もいて、驚くことばかりです。いろいろな方が毎日来店されるため、常に緊張感があります」

差別発言を繰り返す高齢女性の暴挙

地方では少子高齢化が加速しており、平日の昼間は特に高齢者の来店が目立つ。大半は善良な客だが、なかには信じられない言動に及ぶ者もいるという。

「周辺にスーパーがないため多くの高齢者の方が買い物に来てくれますが、ある80代の女性客は外国人スタッフに対して酷い差別発言を繰り返しました。外国人が触ったものを買いたくないと騒ぎ、日本人スタッフがレジを打てと要求するんです。品出し中にも文句を言うため、さすがに堪忍袋の緒が切れました。今度スタッフに差別的な発言をしたら警察を呼ぶと厳重注意したところ、ようやく来店しなくなりました」

商品を投げつける70代男性

言葉による暴力だけでなく、物理的に暴れる高齢男性の対応にも高橋氏は苦慮している。1ヶ月前には、自分の欲しい商品がないという些細な理由で、大騒動を巻き起こした70代の男がいた。

「レジ対応を待たされたことに腹を立て、駆けつけたスタッフに『バイトの分際で生意気だ』と暴言を吐いたそうです。さらにお目当ての商品がないと分かると、激昂して近くの商品をスタッフに投げつけてきました。
私が店に駆けつけた際もまだ暴れており、埒が明かないため警察に通報して対応していただきました」

警察の姿を見て豹変する常習犯

白昼のコンビニで大立ち回りを演じた男性だったが、警察官が到着した瞬間にその態度は一変したという。

「警察官の姿を見た途端に黙り込み、号泣しながら土下座して謝ってきたんです。とはいえ許せるはずもなく、そのまま連行してもらいました。後で警察から聞いた話では、他店でもトラブルを起こしている常習者だったようです。今後、日本はさらに高齢者が増えていきます。会計を忘れて店外に出てしまうケースも含め、店舗側として高齢者対策をより深刻に考えていかなければなりません」

今後、高齢者によるカスハラはさまざまなサービス業で激化する可能性が高い。個別の店舗対応だけでなく、社会全体での抜本的な対策が求められている。

<TEXT/高橋マナブ>

【高橋マナブ】
1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている
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