昨年から大久保公園の立ちんぼ行為を取材し、様々な闇を目の当たりにした。もちろん私自身が売買をおこなった身ではないため、あくまで表から見ただけに過ぎない。
しかし、それでも歓楽街で過ごす複雑な住人たちの在り方に触れたのである。

ナイトワークの“受け皿”からもこぼれ落ちる人々の実態

「稼げれば何でもいい」の末路…元セクシー女優が見た“立ちんぼ...の画像はこちら >>
 これまでの取材を通じて感じたのが「ナイトワークのスタートラインにすら立てない人々」が圧倒的に増えていることだ。私が考える“働くうえでのスタートライン”とは、最低限のルールや社会性を守れるかどうかという、ごく基本的な条件を指している。

 具体的に言うと「飽き性で1か所に身を置けない」「身分証不所持のため、面接へ行けない」「遅刻や当日欠勤を繰り返し、何度も解雇される」といった人は、最低限の条件を満たしていない。

 もともと夜職とは、一般職が難しい人々の受け皿だったはずなのに、既に一部は受け皿から溢れ出ている。よって正規ルートでの労働が困難となり、ルール外の立ちんぼやパパ活、SNSでの個人売春に辿り着くのだ。

 身分証不所持など世間一般で考えれば、あり得ない話だろう。けれども、この世界には保険証ですら持っていない人は一定数いて、仲間内で1枚の保険証を使い回す違法行為も横行する。診療は受けられるものの、就労に必要な条件を満たせず、行きつく先は身分証不要の怪しい仕事しか残されていない。

 その手の仕事が存在すること自体が問題ではあるものの、現実への理解が薄いナイトワーカーが多いのも事実。「稼げればなんでもいい」という無謀さが闇を深め、己をスタートラインから大きく遠ざけるのだ。

起きられない、シフト通りに動けない…「基礎」ができていない若者たち

 昔から朝が苦手で、その日の気分で欠勤をするナイトワーカーは大勢いる。定時出勤・退勤が厳しいからこそ夜職に就くのだが、近頃のお店はどこも水準が高い。客入りが厳しい一方でキャストばかりが増え、苦戦を強いられ続けるからこそ働き手に意識の高さを求めるようになったのだ。


 少ない客をガッチリと獲得し、利益を出すにはいい加減な人間を排除するほかない。その結果、働き手の側で朝起きられず、シフト通りに動けないうえに接客態度が悪ければあっさりとクビか、ひっそりと干され、退店を申し出るように促される。

 店のルールを守るのは当然なものの、こういった「基本のキ」ができていない若者が今は特に多い。どこかで多様性とわがままを履き違え、違法店でもお金を得る手段が用意されてしまっているからこそ、ズルズルと闇の底へ引きずり込まれて行くのだ。

“ノラ猫系ナイトワーカー”に未来はあるのか

「稼げれば何でもいい」の末路…元セクシー女優が見た“立ちんぼに堕ちる若者”の危険すぎる実態
元セクシー女優で現在はフリーライターの「たかなし亜妖」
 立ちんぼやパパ活、SNSでの個人売春は組織に属さないため、言い方は悪いが、私は彼女らを“ノラ猫系”と定義する。

 水商売は基本的に不安定な商売だからこそ、店に所属していようがいまいが、未来を紡ぎ出すのはそう簡単ではない。すべては自分次第であり、所属=勝ち組、フリー=負け組なんてことを言うつもりはない。実際、みんな“完全安定”とは程遠く、将来に対して安心感を抱く人などいないからだ。

 しかし、ノラ猫系はより一層不安定さが大きい。後ろ盾がなく、そもそも違法行為に手を染める時点でオフィシャルなお店で働くキャストとは次元が違う。何もかもが自己責任でルールの外にいれば、明るい未来は待っていないだろう。

 ノラ猫を経てさらに堕ちていくケースも多く、本当に捕まってしまったり、行方不明になる例も珍しくはない。あとはプレイヤーではなく運営側に回り、売春斡旋の元締めになってトラブルを起こすなど、とにかく予後が悪いのは確かである。


 全員が全員恐ろしい話に当てはまるわけではないけれど、同じ夜職でもスタートラインに立てるか立てないかでは、随分と話が変わってくるのだ。

違法行為を“当たり前”にしてはいけない

 個人個人の在り方の問題となると、立ちんぼなどを完璧に防ぐのは難しいと言えよう。ただ「みんなやっているから」と意識が甘くなっているのは事実で、危機感の薄さが歓楽街の闇を助長しているのかもしれない。

 よくSNSでは「見て見て!」と言わんばかりに発信者がエンターテイメントのように立ちんぼの様子を映すけれども、好奇の目を煽ると人々の認知が歪む。この手の商売に対する注意喚起をするのはもちろんのこと、我々のような大人が違法行為を面白おかしく取り扱ってはならないのである。

 本人の意識は何よりも重要なのだが、スタートラインにさえ立てない若者を作り出すことがないような環境づくりも今後は求められるだろう。少なくとも現代社会においては「受け皿の下の受け皿」があってはならないと、私は強く伝えていきたい。

文/たかなし亜妖

―[元セクシー女優のよもやま話]―

【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。
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