客数、客単価ともに数字を伸ばして利益が膨らんでおり、モスは通期の営業利益が従来予想よりも2割増の上方修正も発表しています。躍進を支えている要因の一つに、「価格グラデーション戦略」があります。
値上げをものともしない集客力
モスバーガーの2025年4-12月の既存店の客数は前年同期間比7.2%増、客単価は3.0%増でした。売上高は10.4%も増加しています。既存店はオープンから一定の期間が経過した店舗を指します。新規開店による集客効果が働かないため、本質的な集客力を見ることができます。モスバーガーは2025年3月に一部メニューの価格改定を実施。「モスバーガー」「テリヤキバーガー」などの主力商品を中心に10~30円の値上げを行いました。しかし、集客力が落ちている様子はありません。
モスフードサービスは、2023年3月期の営業利益が前期比99%減となり、営業赤字ギリギリのところまで追い込まれました。2022年7月に価格改定を行ったものの、仕入価格の上昇に追いつけず、人件費や水道光熱費の高騰も重なってコストが利益を圧迫していたのです。
ついに「低価格帯」が不在になった
2022年から、生鮮食品を除く日本の消費者物価指数は2%を超えるようになっていました。インフレが進行していたのです。ファーストフード業界ではマクドナルドが2022年から強気の値上げを開始。デフレからインフレに移行すると、外食ニーズは二極化が進行するようになります。ファミリーレストランはロイヤルホストを筆頭にガストも高価格帯へとシフト。一方、サイゼリヤは低価格路線を堅持しました。
しかし、ハンバーガーチェーンはマクドナルドが度重なる値上げを行ったことで、低価格帯のプレーヤーが不在になりました。ロッテリアが低価格路線をとっていたものの、ゼッテリアへと転換することで高付加価値化へと舵を切ることになります。
こうした流れの中で、ハンバーガーショップの競合は、価格競争力の強い「サイゼリヤ」や「丸亀製麺」などの低価格チェーンなどへとシフトしていきました。サイゼリヤの客数が毎月10~20%増のペースで増加していることが、それをよく示しています。
「相対的に安く見える理由」が明確
モスバーガーは他社にはない圧倒的な強みがあります。ブランド力です。日経クロストレンドはハンバーガー「幸福度ランキング」を調査しています。
モスバーガーは長い時間をかけて素材や品質の高さ、地域密着型の店舗運営方針などに磨き込みをかけ、消費者に高く評価されるようになりました。そのブランド力を保った状態で、価格帯を「レギュラー」「プレミアム」「超プレミアム」の3つに分類したのです。
モスバーガーのハンバーガーは240円で、マクドナルド190円と大差はありません。低価格商品の値段がほとんど変わらず、ブランド力に差があると、消費者のモスバーガーへの選好度は上がります。ハンバーガーチェーンの低価格帯が不在の中、ブランド力の高いモスバーガーの相対的な安さが目立つようになるというわけです。
さらに主力のモスバーガーが510円で中価格帯、ダブルチーズベーコンテリヤキバーガーが750円で高価格帯と、明確なグラデーションをつけることで、幅広い顧客層にリーチすることができます。消費者からすると比較がしやすくなり、来店に結び付きやすくなっていると考えられるのです。
スマッシュヒットした「夜モス」と「ライスバーガー」
2022年に開始した15時位以降限定メニュー「夜モス」も見逃せません。ハンバーガーショップはランチタイムが主戦場でしたが、インフレの進行で消費者の飲食店離れが進んでいるため、ディナー客の獲得が欠かせません。ディナーは高単価になりやすく、モスの方向性とも一致しています。
「夜モス」は当初、ご飯で具材を挟んだ「ライスバーガー」を増量し、満足感を楽しむメニューからスタートしました。これは通常のハンバーガーと明確な差別化を図るためでしょう。
「ライスバーガー」は現在、冷凍品として人気を集めています。ヒット商品となった「モスライスバーガー〈のり弁〉」は公式ショップの販売価格が6個入りで3540円。一つ590円です。コンビニのおにぎりの価格が高騰する中、モスは家庭の中に入り込むことに成功しています。これもターゲットの幅を広げた成功事例だと言えるでしょう。
<TEXT/不破聡>
【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。
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