今季は村上宗隆、岡本和真、今井達也の日本人3選手が新たに海を越えてメジャーに挑戦するが、やはり注目はワールドシリーズ3連覇がかかるドジャースの日本人トリオだろう。
昨季、4度目となる満票MVPを受賞した大谷翔平はもとより、サイ・ヤング賞投票でナ・リーグ3位に食い込んだ山本由伸もメジャーのエリート投手として存在感を発揮。すでに2年連続の開幕投手も決まっている。
ドジャース日本人トリオの中で問われる“佐々木朗希の真価”
そんなドジャースに“三本目の矢”として昨季、日本球界から加わったのが佐々木朗希である。渡米時の評価は大谷のそれに匹敵するといわれ、ポスティングシステムを使ってロッテからドジャースに移籍。160キロを超える剛速球と鋭く落ちるスプリットは、即メジャーでも通用するとみられていた。
その証拠に2025年1月にMLB公式サイトが発表したプロスペクト(若手有望株)ランキングで、佐々木は大谷に続く日本人2人目の1位に輝き、「少なくとも2桁勝利には届く」という評価を受けていた。
ところがふたを開けてみると、まさかの1勝止まり。5月には右肩にインピンジメント症候群を発症し、秋口まで長期の戦線離脱を強いられた。
シーズン終盤に復帰し、ポストシーズンでは救援投手としてチームに貢献したが、2年目の今季は先発投手として再スタートを切る。指揮官のデーブ・ロバーツ監督はすでに佐々木の開幕ローテーション入りを明言しており、2年目の真価が問われることになる。
しかし、佐々木はオープン戦でチームやファンを納得させるだけのパフォーマンスを披露したわけではない。むしろ昨季は0.00だったオープン戦での防御率が、今季はなんと13.50に悪化。
オープン戦で露呈した“ノーコン病”再発の懸念
改めて直近の登板(日本時間18日)を、データを交えて振り返っておこう。WBC決勝の裏で佐々木はロイヤルズ戦に先発し、1回と2回は1人ずつ走者を出すも、無失点で切り抜けていた。ところが3回1死から3連続四球で満塁のピンチを招き降板。50球持たず、49球で一度はベンチに下がった。
その回は佐々木の後を受けたニック・ロバートソンが2者連続三振でピンチを断ち切り、佐々木に失点は付かなかった。しかし、4回に特別ルールで再びマウンドに上がった佐々木は、1死一塁からオープン戦2本目の被弾で2失点。5回の先頭打者に二塁打を打たれたところでマウンドを降りた。
結局、この日の佐々木は計3回1/3を投げ、4安打3失点。5つの三振を奪ったものの、四球は4つを数える不安定な内容だった。
直近登板を詳細データで検証する佐々木朗希の現在地
そんな中、佐々木の投じた“71球”には明るい兆しもあった。30球に上ったフォーシームのうち、最速99.3マイル(約159.8キロ)を含む15球が98.0マイル(約157.7キロ)以上を計時。この日の平均97.9マイル(約157.5マイル)は、昨季のレギュラーシーズンにおける自身の平均96.1マイル(約154.6キロ)を大きく上回り、ロッテ時代の姿を彷彿とさせた。
さらにフォーシームとスプリットに続く“第3の球種”として取り組んでいる「カットボール」も、徐々に佐々木の繊細な指先になじんできているようだ。
新球カットボール導入で広がる投球の幅と課題
この日は自身が“ジャイロっぽいスライダー”と呼ぶ新球を19球投じた。そのうち半数以上の10球がボールとコールされたが、見逃しストライクが5球、空振りとファウルが1球ずつ、そしてフライアウトと単打が1球ずつという結果だった。このカットボールがメジャーで通用する球種となるかどうかは未知数だが、ほぼ縦の変化しかなかった佐々木のレパートリーに横の変化が加わることは、プラスにはなってもマイナスにはならないはず。オープン戦では試投の意味合いも強いのか、カットボールの投球割合がやや多くなっているが、レギュラーシーズンに入れば“隠し味のスパイス”として、全体の10~15%に抑えてくるだろう。
ただ、そうは言っても佐々木の生命線はやはりフォーシームである。突如、制球を乱すシーンはもはや見慣れた光景になりつつあるが、18日の登板では98マイル以上が半数を占める中、フォーシームに限ればストライク率は64.5%(20/31)に達していた。
防御率13.50でも開幕ローテ入りを決断した首脳陣の思惑
防御率13.50——。オープン戦の3試合で佐々木が残した防御率を見ても、開幕ローテーション入りを明言したロバーツ監督の判断には否定的な意見が多くなるのは仕方のないところ。それでも指揮官の目には、“第3の球種”と“フォーシームの制球力”の両方に光明が見えているのだろう。「彼(佐々木)にはまだ証明すべき課題がある。打者を打ち取る安定感や、ストライクを投げ続ける能力などだ。しかし、彼はシーズン開幕から先発の機会を得ることになる。そこからどう展開していくか、様子を見ようと思う」
ドジャースの情報を発信する米メディア「ドジャース・ネーション」によると、ロバーツ監督はそう語ったという。
しかし、オープン戦とは違い、レギュラーシーズンは結果が全て。佐々木に残されたチャンスはそう多くないはずだ。1年前から急降下した評価を覆すためにも、エンジン全開で2年目に臨みたい。
文/八木遊(やぎ・ゆう)
【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。
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