豪華だけど年齢層が高めな主要メンバー
3月18日にリリースされた新サービス「POPOPO」は、“カメラのいらないテレビ電話”がコンセプトのサービスだ。ユーザーはアバターを使ったメタバース空間で音声コミュニケーションを楽しむことができる。川上量生氏が発起人となり、運営会社にはひろゆき氏のほか、GACKT氏、庵野秀明氏ら「なぜこの人が?」という人物まで取締役に名を連ねている。確かに錚々たるメンバーだが、ひとつ疑問が……。それは主要メンバーに若者が不在なこと、語弊を覚悟でいえば、おじさんしかいないことだ。SNSといえば若者にヒットしなければ生き残れない世界。フェイスブックで天下を取ったマーク・ザッカーバーグも創業当時は若者。そのような状況のなか、おじさん主導の国産SNSに、どのような勝機があるのか?
ひろゆき「単純に川上さんに女性や若い友達が少なくて、圧倒的におじさん&男性率が高くなっただけなんじゃないかな(笑)。このプロジェクトは僕や庵野秀明監督、GACKTさんって、みんな川上さんの知り合いや友達が中心。ただ、川上さんの人生の集大成プロジェクトという意義もあるので、それでいいかなと」
川上「ひどい言い方ですけど間違いではない。何よりも、昔からの素晴らしいメンバーでやりたかったのは正直ありますしね」
若者向けのPRは「まだ無視している」
気になるのは、サービス開始前はネット上を中心に、中年ユーザーの期待感ばかりが先行していたことだ。川上「それは年配層に話題になるようにしたからですよ。サービス継続にはビジネスでの収益が必須。そして課金をするのは年配のアーリーアダプター層だから、マネタイズが成功するかは、むしろその世代に来てもらえるかにかかっているわけです」
ただ、インスタグラムにせよTikTokにせよSNSは若者の利用者が増えることで相乗的に話題も広がるサービス。
川上「そもそも新しいサービスは『とりあえず触ってみよう』って若い人は自然と使うんですよ。だから時間がたてば若い人は増えるに決まっている。難しいのは年上です。年をとると徐々に新しいものは使わなくなるし、若い人が使うSNS『BeReal.』とかも年配の人はほぼ使っていませんよね。だから全然マネタイズはできていないと思う。そうはなりたくないから」
ただ、POPOPOのサービス内容は音声通話。XやインスタグラムのようなSNSとは少し毛色が違うが、なぜこのような仕様にしたのか?
川上「僕は今、“でっかいニッチ”を探しているんですよ。ネットの登場で手紙はメール、テレビはネット動画へとトランスフォームしたけど、音声だけはネットでのマージアップができなかった。MSNメッセンジャーやスカイプ以降、通話はLINEやWhatsAppの“おまけ”に成り下がったわけですよ。でも、もともとマーケットは巨大。だから音声に進化を持ち込めば、単体のアプリケーションとして成立するんじゃないかと」
実際に川上氏は「スマホのスピーカーで通話するときはスマホをテーブルに置きっぱなしにするけど画面を見ない。
川上「今までのサービスって、必ず操作させたりカメラで認識させたりと“ハードル”がありましたよね? だからダメだった。電話とまったく同じ操作性でそれ以上は何もしなくていい。けれども“プラスアルファがある”という考え方から設計しているんです」
なぜ「POPOPO」という名前に?
そんな戦略眼から生まれたPOPOPOだが、なぜこんなゆるい名前を選んだのか?川上「僕のマーケティングの定石は、先入観を抱かせない名前をつけること。ニコニコ動画もYouTubeに比べて格好悪いし、N高も灘や開成と並べれば意味がわからないはず。でも、それでいい。新しいサービスに何かを想起させる名前をつけると、そのイメージに引きずられてしまう。尖ったものを出しても既知のものとしてくくられるのは命取りなんです。でも、何も想像させない名前ならイメージをイチから塗り替えられる」
POPOPO内では「ホロスーツ」と呼ばれるVRアバターが買える。しかし、リリース会見の発表内容では数万円もするアバターがあるなど「高い」という声が出ている。
ひろゆき「実際には安いものが中心。でも、わざと高価なものを見せておけば、実際に売り場に行ったときに値段の低いものは安く感じますからね。
マネタイズしまくるとつまらない世界になる
また、昨今のSNSでは「ユーザーが稼げる」という仕組みを導入して囲い込みを図る傾向がある。ひろゆき氏は「僕もユーザーが儲けられるほうが会員は伸びると思う」と同意するが、川上氏は否定的だ。川上「その主張は正論だと思う。でも、正しすぎるがゆえにユーザーの多様性をなくしちゃうんですよ。初期のニコニコ動画はお金を儲ける仕組みはなかったけど、いろんなクリエイターが出てきましたよね? 面白さとマネタイズって実は相反する要素で、みんながお金儲けに向かうとつまらなくなる。なので最初からユーザーの儲けに頼らず、まずは使ってもらう。その初期ハードルを下げるために1億円キャンペーンもやっているんです。『これ何のサービスなの?』と悩むと人は躊躇しますが『とりあえず1億円が当たるかも』となれば“思考停止”して動くと思うので」
ひろゆき「という思惑なんですが、もし1年後にまたバラマキをやっていたら、そのときはサービスがうまくいってない証拠ですね(笑)」
川上「今回だけだから!」
レジェンドたちの挑戦の行方はどうなるか。その答えが出るまでは、そう遠くない。
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