先日、Xにて「東大教授の収入は少ないのか?」をテーマに大議論が巻き起こりました。
「年収1,000万といえど、大学教授の能力に対しては少ない」「好きなことで1,000万が稼げる職業はそう多くないので恵まれている」など、様々な意見が飛び交う中で、ポスドクや非正規雇用など、教授職を得るまでの道のりの不安定さに注目が集まっていったようです。
個人的には、大変な能力が要請される仕事なのですから、せめてもっと厚遇であれば、より多くの才能が集まるのではないかと感じます。
「やりがい」は重要ですが、やはり収入も重要。コンサルティング会社AFGの推計によれば、東大卒の生涯収入は4億6126万円にものぼるとされます。
東大卒で大学教授になられる方も多いですが、そういった方々の大半は、きっと民間就職したほうがよほど稼げたことが予想できる。
では、今を生きる東大生たちは、どのような軸で就活を考えているのでしょうか?
現役東大生2名に就職の軸を聞いたところ、なぜ東大生にコンサルが人気なのかが見えてきました。「なぜ東大生は商社・コンサルに集まるのか?」を考察します。
東大生は「コンサルがしたい」ワケではない
東大新聞オンラインが2025年8月2日に出した「25卒人気企業ランキング」によれば、人気企業の首位は三菱商事で、アクセンチュアと三井物産がそれに続くそう。どの会社も日本有数の高給を期待できる企業であり、少なくとも東大生たちの就職軸として「収入」がメジャーであると予想できます。
さらにランキングを下ってみると、トップ10の商社・コンサル率の高さに驚かされます。
アクセンチュア、EY、マッキンゼー……名だたる一流ネームに目がくらみますが、大学院修了者の就職先ランキングは全く異なる様相を呈していることに気づくでしょう。
学部卒のランキングでは影も形もなかった日立製作所や中外製薬などメーカーが、院卒ランキングの上位に食い込んでくるのは、専門性が必要なためと考えられます。
自分のやるべきことが一本化しているので、就くべき職種や入るべき会社がおのずと決まってくる。
実は、東大の就活生には、ある雰囲気が漂っています。
「コンサルを選べば、あとあとのキャリアパス形成で、選べる方向性が最大限増えるだろう」
コンサルに行きたいからではなく、コンサル以降の就職先選びで最大限有利になるから、コンサルを選ぶ学生がほとんどなのです。
自らの人生を構築するうえで、選択肢が最多数になるように立ち回るのは当たり前。
一方で、私の内には「選択肢が多くなるから東京大学を選んで、選択肢が多くなるから学内競争の点数で争って、それを経てなお選択肢を広くとろうとして、いつ方向性を決めるのか?」と疑念が生じます。
やりたくない仕事ならせめて稼げてほしい
実際に、東京大学教養学部に通うMさん(男性・20代)は以下のように話してくれました。「私は幼少期から絵や音楽など創作活動に没頭して育ってきました。今でも絵をかいたり作曲したりしていて、東大の友人もそのような“趣味の仲間”がほとんどです。
運動系の部活には在籍していない彼らでさえ、『就職するなら、商社かコンサルから』と話している。
実際、私自身もコンサルや商社を志望します。別に仕事内容とか、そこから続くキャリアパスには全く興味がありません。
クリエイティブ系の仕事に就いてみたい気持ちもありますが、その業界では「東大です」といっても響かないでしょう。
コンサルなどの東大生に人気の会社はきっと東大ブランドがきくでしょうし、周りに就職成功例も多いので対策も立てやすい。
どうせやりたくない仕事なら、せめて稼げてほしいですからね」
選びたいのは将来の安定
先述のMさんとは全くかかわりがないコミュニティに属している東大教育学部のKさん(女性・20代)も、この分析を肯定します。「私の周りでも商社やコンサルは人気です。
ただ、別に本気でそれらの会社に行きたいわけではなく、『やりたいことが決まっていないなら、とりあえず稼ぎたい!』ってことのよう。
そういった軸の決まっていない人は、軒並みお給料が高くて、大手で、規模が大きい業界を手当たり次第に受けているようで、やはり将来的に安定を取れそうな選択肢を選びたいのかな、と見ています」
選択肢が広がるようなキャリアパスを形成したくなるのは、当たり前。
なぜなら、社会に出たことがない大学生には、自分が社会に出てから活躍する姿を想定するなんて、ほとんど不可能だからです。
とはいえ、選択肢を最大化していく動きは、あくまで保険がかかるような動き方であって、いつかは選択の時が来る。
そして、その時、肥大化した選択肢の中から、唯一の答えを選び取るのは、やはり自分の責務において行わなくてはいけません。
無心で選択肢を増やし続けられることは一種の才能ですが、同時に「選ぶ際に心が惑わされないのだろうか」といらぬ心配すら浮かんでくる。
増やしたはいいが選べない……なんてことのないよう、せめて選択肢と同時並行で、自分の軸も形作ってほしいものです。
<取材・文/布施川天馬>
―[貧困東大生・布施川天馬]―
【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。MENSA会員。
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