昨年12月の組み合わせ抽選会で、日本はグループF(オランダ、チュニジア、欧州プレーオフ勝者と同組)に入ることが決定した。
最終発表前、最後のアピールの場
本大会開幕まで、今回の2試合を含めて残された実戦は3試合。最終メンバー26名の登録締切は5月30日に設定されている。本大会前に国内で行われるアイスランド戦は5月31日のため、必然的にメンバー発表後の壮行試合となる。つまり、今回の欧州遠征が選手にとっては最後のアピールの場であり、監督にとっては最終選考の場なのだ。同時に、今遠征は対戦相手決定後、具体的な戦術を試せる唯一の好機でもある。本大会まで残り3試合しかないなか、本番を見据えたシミュレーションを行える時間は限られている。
負傷者続出で陥ったチームの危機
選手を試すのか、戦術を試すのか。今回招集された顔ぶれを見る限り、森保監督は前者に重きを置いたようだ。背景には、日本代表が現在抱える深刻な問題がある。森保監督はこれまで「コアメンバー」「ラージグループ」といった言葉を使い、選考の優先順位を明確にしてきた。早い段階から最終メンバーの多くを固めていたと推察されるが、現在は負傷者が続出。チームを成立させられるか危ぶまれるほど、危機的な状況に陥っている。
現状、監督が望む26人のうち、招集できているのは6~7割程度ではないか。本大会時にこの比率がどう変動しようと、戦いは待ってくれない。こうした事態を踏まえ、指揮官はまず「穴を埋められる選手」の選定を最優先したのだろう。
もはや理想を追う時期ではない
それにしても負傷者が多すぎる。開幕まで2カ月強あるが、ベストメンバーで挑むことはもはや不可能に近い。これ以上離脱者が増えるのか、あるいは回復が間に合うのかは不透明だ。もはや理想を追う時期ではなく、現実を見つめてどう戦うかを決断すべき時だろう。その意味で、森保監督は極めて現実的な舵を切っている。昨今の森保監督は「誰が出ても変わらない」チーム作りを掲げてきたが、実際にはコアメンバーと控えの間には実力差がある。それは昨年9月の遠征でも露呈した。「誰が出ても変わらない」という理想には、まだ距離があるのが実情だ。
一方で、第2次政権発足当初は「人が変われば戦術も変わる」とも主張していた。
<TEXT/川原宏樹>
【川原宏樹】
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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