投資で失敗する人、上手くいく人の差には何があるのでしょうか。個人投資家の村野博基氏によれば「勝つのは運、負けるのは他責思考があるから」と言います。
そして、「自己責任論で育ってきた氷河期世代こそ投資に向いている」と力説します。近著『戦わずして勝つ 不動産投資30の鉄則』(扶桑社刊)を上梓した村野氏が考える「投資で負けないための法則」とは。
「氷河期世代こそ投資に向いている」FIRE投資家が語る“他責...の画像はこちら >>

頭をぶつけるのは自分が悪い?

先日ある駅を歩いていたとき、上のほうに「頭上注意」の掲示を見つけました。ふと下を見ると「足元注意」というステッカーもあります。駅のホームに上がると「駆け込み乗車は危険ですのでお止めください」とアナウンスされます。こうやって見ると、ありとあらゆる場面で他人から注意を促されていることに気が付きます。

このような注意喚起を見るたび聞くたび「無駄なことを……」と切なくなります。「頭上注意」の標識が視界に入るならば、当然のごとく避ければいい話。存在意義が無い掲示だと思うのです。貼った人は心の底から親切に「頭をぶつけないで!」と思っているのかもしれませんが、私としては「頭をぶつけた人からのクレームに対してやった感を出すため、無意味とわかって掲示している」のではないかと邪推してしまいます。

もしもよそ見をしていて頭をぶつけたとしたら……。その要因は注意してくれる看板がなかったからでしょうか。当然そうではなく「自分が悪い」から痛い思いをしただけでしょう。
そして、痛かったから頭にきて「なんでこんなに通路の天井が低いんだ!?」とクレームをいう人が多いのでしょう。なのでそんなことにならないためにお金をかけて「頭上注意」を掲示をするーーそんなところにリソースを割いているからこそ、日本の生産性は低いのでは、と考えてしまいます。

私は氷河期世代です。この世代は徹底的に「自己責任論」を押し付けられてきました。「就職できないのは自分の実力がないから」「結婚できないのは自身に魅力がないから」と、なにかに付けて「結果が出ない責任は自分自身にある」という風潮で過ごしてきたように思います。私は「自分の就職が大変だったのは自己責任ではなく時代のせい」と思いたい部分もありますが、一方で悔しいながらも「自己責任」については納得せざるを得ない部分もあると考えています。そんな私としては「頭上注意」の掲示を見つけると「自己責任はどこいった?」と苦笑いするしかありません。

自己責任を強く意識するからこそ投資がうまくいく

自分自身の投資を振り返ってみると、実はこの「自己責任」の意識が強かったからこそ上手くいっているのではないか、と思っています。私は信頼する知人が「これあがるよ」とおススメした投資先であっても無条件にエントリーはしません。そもそも「他人が私のために頑張って利益を出してくれる」なんて発想にはどうしてもならないのです。だって「自己責任」ですから「自分が儲けるためには、自分が頑張らないといけない」とどうしても思うのです。結果として、判断は全て自分という「主導権が自分にある」思考で投資には取り組んできました。

そして、私は「キャッシュフローがプラスのもの」にしか投資をしないよう心がけています。
ですから10年以上も前に暗号資産への投資を検討しましたが、これはキャッシュフローを生むのか?という観点から実行はしませんでした。もしあの時に購入していれば、軽く100億円を超える金額になっていたでしょう。かなり惜しい気持ちはありつつも、後悔はしていません。負け惜しみかもしれませんが、それで大きく儲かったとしても、きっとそのあぶく銭は無くなってしまう、と思うからです。

キャッシュフローで考えると、不動産であれば「家賃収入が長期的に安定的に入ってくる物件」、株式であれば「配当や優待が継続的に出ると思われる銘柄」しか選びません。国債に代表される債券であれば、必ず満期まで所有すれば利息分プラスになります。私はキャッシュフローを生むものにしか資金を投下せず、値上がりを期待する投資はしていないのです。

負けない投資とは?

売買の主導権は自分にあり、かつキャッシュフローがある状態。この状態であれば損するケースは絶対に無い「負けない投資」になるのです。

例えば、購入した株が値下がりしたとします。多くの人は「株価が下がって損した」と思うかもしれませんが、私は全然気にしません。なぜなら売却さえしなければ、いつかは配当や優待で元が取れるからです。売買の主導権が自分にあれば「待つ」こと、つまり時間を味方にできるので、いつかは値下がり分は取り戻せます。
これがもし「〇月〇日までに売却しなければならない」と期限が切られるような、売買の主導権が自分に無い状態であれば、泣く泣く損切りをしなければいけなくなるのです。

ただし、株の場合は経営陣や他の株主など「他人」の都合により、急に配当が減ってしまうケースもありえます。その点では株よりもキャッシュフローを安定して見込むことができる債券や不動産のほうが、より「主導権は自分にある」と言えるでしょう。とはいえ、これらの投資先にも「金利」という自分以外に主導権がある事柄が存在しています。ただ、私は「投資家」であって債券の専門家でも不動産の専門家でもありません。特定の投資先に縛られることなく、「手取り家賃÷物件価格」の利回りが、金利より高いのであれば借入をして不動産を購入し、逆に金利が上がって不動産が逆ザヤになるようであれば、資金を引き上げ、利回りの上がった債券に資金を投下します。これだけで、常にプラスで運用できるのです。

本当の投資をしよう

もちろん、隣を見れば大儲けしている人たちがいるかもしれません。しかし投資は「他人」と比較して勝ち負けを争うものではなく、「自分」が幸せになるために、経済的な自由を得るために行うものだと思っています。他人に影響され、左右される投資は他人に主導権を握られた状態なので、当然他人のさじ加減一つで勝ち負けが決まります。だから負けたときは「社会が悪い、相場が悪い、企業が悪い」と考えるのは他責の投資であるため正しい考えなのですが、そもそも自分でコントロールできていない時点で博打なのです。「投資は自己責任」と言われますが、これは決して「損をしても得しても自分のせい」ということを言っているのではなく、「他責ではなく自己責任であるものが投資」と私は考えています。
「自分の考え方、やり方一つで損にも得にもなる」のが投資なのです。

自分の人生ですから「自分が主導権を持つこと」が何よりも大事です。自分から主導権を奪おうとする事柄からは距離を置いて過ごすことさえできれば、きっと詐欺に逢うこともなく、投資も上手く進むと考えています。その意味では「自己責任論」をずっと押し付けられてきた氷河期世代は、まさに負けない投資ができるはずなのです。<構成/上野智(まてい社)>

【村野博基】
1976年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、大手通信会社に勤務。社会人になると同時期に投資に目覚め、外国債・新規上場株式など金融投資を始める。その投資の担保として不動産に着目し、やがて不動産が投資商品として有効であることに気づき、以後、積極的に不動産投資を始める。東京23区のワンルーム中古市場で不動産投資を展開し、2019年に20年間勤めた会社をアーリーリタイア。現在、自身の所有する会社を経営しつつ、東京23区のうち19区に計38戸の物件を所有。さらにマンション管理組合事業など不動産投資に関連して多方面で活躍する。著書に『戦わずして勝つ 不動産投資30の鉄則』(扶桑社)、『43歳で「FIRE」を実現したボクの“無敵"不動産投資法』(アーク出版)
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