ワールドシリーズ3連覇を目指すドジャースは、本拠ドジャースタジアムで6試合を消化。4勝2敗と貯金2つをつくり、まずは地区首位に立つ好発進を決めた。

 開幕シリーズはダイヤモンドバックス相手に3連勝。幸先よく地区ライバルをスイープしたまでは良かったが、続くガーディアンズとの3連戦は1勝2敗と、よもやの負け越しを喫した。何がドジャースの勢いを止めたのか。

投手陣は安定も…勝敗を分けた“打線の決定力不足”

「なぜ打てない?」大谷翔平「打率.167・長打ゼロ」でも出塁...の画像はこちら >>
 ドジャース投手陣は開幕から6試合で17失点。ダイヤモンドバックスに8失点、ガーディアンズに9失点と、どの投手も安定した働きを見せていた。チーム防御率(2.83)は両リーグ通じて上位に位置し、特に防御率2.38の救援陣が奮闘している。

 ガーディアンズとの3連戦では、史上初めてチームメートの日本人投手が3試合連続で先発。佐々木朗希は4回0/3を1失点、大谷翔平は6回無失点、山本由伸も6回2失点と、3人そろって先発投手の役割を果たした。

 それでもその3連戦で負け越したのは、打線が沈黙したから。3試合合計で24安打を放ったが、わずか7得点とつながりを欠いた。17安打で9得点を記録したガーディアンズとはまさに対照的だった。

大谷翔平が開幕6戦「長打ゼロ」の異常事態

 そんなドジャース打線でひと際悪目立ちしているのが、主砲・大谷翔平の低調ぶりだ。

 開幕から6試合連続で出塁はしているものの、これまで18打数3安打で、打率は.167。3安打はいずれも単打で、本塁打はおろか長打がまだ出ていない。
大谷らしい豪快な打棒は今のところ完全に影を潜めている。

 日本時間2日のガーディアンズ戦も、初回の第1打席に四球を選んだものの、その後は空振り三振、併殺打、空振り三振と精彩を欠いた。いつ自慢の打棒を爆発させてもおかしくはないが、まだその兆しが見えていないのが現状だろう。

四球増加と勝負回避…今年の「BB/K」が示す変化の正体

 成績が成績だけに、大谷のどの打撃データを見てもさえないが、違和感を覚えるのが四球数と三振数の比率を示す「BB/K」という指標だ。

 昨季までの大谷は勝負を避けられるなどし、四球は決して少なくないが、それ以上に三振の数が多かった。ここ数年の「BB/K」は0.5から0.6あたりを推移しており、四球1つに対して、2つ前後の三振を喫する。それが大谷の打撃の良さでもあった。

 ところが今季は、まだ打席数が少ないとはいえ、四球7個に対して、三振の数は5個。「BB/K」は1.40という大谷らしからぬ数字が残っている。

 昨季は0.58だった「BB/K」が、今季は1.40に大幅に“改善”していることは本来なら歓迎すべき事象だろう。しかし、大谷とすればそれだけ勝負を避けられているということ。打率.167に比べると異常に高い「出塁率.423」がその証拠といえるだろう。

 実際に今季、相手投手が大谷に対して、ストライクゾーン内に投じた「In Zone%」と呼ばれる指標は38.8%で、全体の6割以上がボールゾーンに投じられている。
過去2年の「In Zone%」が40%台後半だったことから、今季はより相手バッテリーの厳しいマークにあっていることがわかる。

空振り率減少が裏目に…“当てにいく打撃”の落とし穴

 さらに厄介なのは、大谷の空振り率が大幅に“良化”していることだろう。打者がスイングを試みたときにどれだけ空振りしたかを表す「Whiff%」で、大谷は昨季33.4%を記録していた。これは3回のスイングで1回は空振りをしていたことを意味する。今季はこの数値が24.0%まで良化しているのだ。

 さらに問題なのは、ボールゾーンに投じられた球に対してのコンタクト率が高い点だろう。これは昨季46.7%だったのが、今季は57.1%まで飛躍的に伸びている。

「BB/K」と同様に、これも他の打者ならポジティブなデータといえるが、大谷にとっては必ずしもそうはならない。当然、2ストライクと追い込まれたときの空振りは三振を意味するが、0ストライクもしくは1ストライクの時にボールをバットに当ててしまっているということ。

 ボール球はバットに当てたとしても長打にはなりにくいため、むしろ空振りで次のチャンスを待つ方が大谷にはプラスとなる。それが昨季までの大谷の打撃だった。

 相手投手目線でいえば、今季はボールゾーンへの誘い玉で大谷を打ち取っていると言い換えることができる。逆に大谷目線で捉えれば、相手バッテリーがあまりにも勝負をしてくれないため、際どい球にも手を出してしまっているというところか。


2番・タッカーの不振による影響も…

 そんな大谷が今後、復調を果たすか否かのカギを握る選手がいる。それは直後の2番を打つカイル・タッカーだ。

 2025~26年オフのFA市場の目玉として、鳴り物入りでドジャースに加入した強打者のタッカー。ムーキー・ベッツやフレディ・フリーマンを押し退けて、ポイントとなる2番を任されている。

 しかし、ここまで打率は.174と低調で、安打の数は大谷と同じ4本のみ。長打は二塁打が1本あるだけだ。出塁率も低迷しており、OPS.457は規定打席到達のレギュラー野手でワーストと不振にあえいでいる。

 2番のタッカーが不振ということは、相手バッテリーが1番の大谷を歩かせてタッカーで勝負できるということ。タッカーの不振が大谷の四球の多さの要因となっており、ひいては大谷の打撃不振につながっているとも考えられる。

 さらに今季は3番を打っているベッツも打率.136と低迷中で、ドジャースの上位打線は全く機能していない。

 上位打線の3人は実力通りならそろそろ打ち始める頃。その時はドジャース打線がとてつもない得点力を発揮するだろう。
早ければ4日から始まるナショナルズとの3連戦でその時がやってくる。

文/八木遊

【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。
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