ダービー馬2頭が激突する大阪杯の見どころ
1番人気が予想されるのは、昨年のダービー馬クロワデュノールだ。2歳時に無傷の3連勝でホープフルSを制し、絶対的な三冠候補と呼ばれたが、皐月賞でミュージアムマイルに完敗を喫した。その後はマスカレードボールを競り落としダービー戴冠。秋初戦のフランスG3・プランスドランジュ賞を勝つまでは良かったが、大目標の凱旋門賞で14着に大敗を喫し、続くジャパンCも4着に敗れた。
それでも差し決着となったジャパンCは先行して差のない競馬。調整が難しい海外帰り初戦で、状態不安も囁かれる中、負けて強しの内容だった。今回はそれ以来の実戦となるが、最強の呼び声も高い4歳世代の頂点に立った素質馬だけに、ここでは主役を張って当然だろう。
そんなクロワデュノールと人気を分け合いそうなのが、2年前のダービー馬ダノンデサイルだ。こちらは9番人気の伏兵として世代ナンバーワンに輝くと、3歳秋は菊花賞6着、有馬記念3着と不発に終わった。
しかし、4歳になってからAJCCとドバイシーマCを連勝。その勢いが続くかと思われたが、それ以降は英インターナショナルが6頭立ての5着。ジャパンCと有馬記念は連続3着とあと一歩の競馬が続いている。戦歴からワンパンチ足りない印象もあるが、堅実さという点ではクロワデュノールよりもこちらが上か。
いずれにしてもクロワデュノールとダノンデサイルは、メンバーレベル的にもダービー馬の名に恥じない競馬をする可能性が高いといえそうだ。
ダービー馬に潜む“燃え尽き症候群”の実態とは
ただし、そんな2頭にはダービー馬特有の“燃え尽き症候群”という不安要素もある。近年はやや“マシ”になったが、数年前までダービー馬は4歳以降に不振に陥ることが多々あった。世代王者を決める大一番を制した反動もあるのだろう。ワンアンドオンリーやマカヒキ、ワグネリアンあたりが古馬になって以降長く苦しんでいた。
しかし、ここ数年はシャフリヤールやドウデュース、タスティエーラなどがスランプを乗り越え、年齢を重ねてから再び強さを取り戻している。
そこでここ15年ほどのデータを改めて確認すると、ダービー馬の燃え尽き症候群にはある傾向があった。
【ダービー馬の4歳以降の季節別国内G1成績、2010年以降】
春競馬:1-2-3-21/27(勝率3.7%、連対率11.1%、複勝率22.2%)
秋競馬:7-7-4-30/48(勝率14.6%、連対率29.2%、複勝率37.5%)
大阪杯がG1に昇格してまだ10年目のため、母数には2倍近い差があるが、それでも勝率や連対率に大きな違いが出ていることがわかるだろう。ドウデュースの古馬になってからの3つのG1制覇も、コントレイルの三冠後唯一のG1勝利も秋競馬が舞台だった。
こういった傾向が出ている理由として、競走馬としての充実度が4歳春よりも4歳秋の方がより顕著になっているからと考えられる。しかし、5歳以降で見ても、「春<秋」の構図は変わらない。
春と秋で分かれるダービー馬の成績差の理由
もう一つ影響があるとすれば、コース形態の違いではないだろうか。ダービーの舞台、東京芝2400mと春の古馬王道路線(大阪杯、天皇賞・春、宝塚記念)の3つのコースは、問われる能力がかなり異なる。一方で、秋の古馬王道路線は天皇賞・秋とジャパンCは東京コースで開催される。
クロワデュノールはホープフルSを、ダノンデサイルはドバイシーマCという違うコース形態のG1をそれぞれ勝っている。それでも、春競馬なら燃え尽き症候群の症状が出てもおかしくはない。
春の古馬王道路線で結果を残している馬は
では春の古馬王道路線で結果を残しているのはどんな馬か。それはズバリ、菊花賞を勝った馬である。菊花賞勝ち馬は、距離的にも天皇賞・春に直結するイメージがあるだろう。実際に、菊花賞馬は2015年以降の過去11年間だけで、天皇賞・春を実に7勝もしている。
一方、菊花賞とは1000mも距離が違う大阪杯でも菊花賞馬は好成績を残していて、G1昇格後は【1-1-1-1/4】と高い確率で馬券に絡んでいる。
菊花賞を制した馬はいないが…
今年のメンバーを見渡すと、菊花賞を制した馬は残念ながら皆無。ただし、4年前にアスクビクターモアとハナ差の接戦を演じたボルドグフーシュが出走を予定している。
それでも近2走は京都大賞典が0秒6差、前走のアルゼンチン共和国杯が0秒4差と上位とは差のない競馬を続けている。
奇しくも先週末の高松宮記念は同じ7歳馬のサトノレーヴとレッドモンレーヴがワンツーを決めた。今週も“イクイノックス&ドウデュース世代”の1頭が波乱を起こしてくれるはずだ。
文/中川大河
【中川大河】
競馬歴30年以上の競馬ライター。競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。競馬情報サイト「GJ」にて、過去に400本ほどの記事を執筆。
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