花粉を防ぐためにマスクやメガネを徹底していても、なぜか症状がひどい――。そんな人は、毎日口にしている食べ物が原因かもしれない。
ビール、辛い物、甘い飲料、さらには一部の果物まで、花粉症を悪化させる可能性がある食品について医師が解説する。

今年も猛威を振るう花粉症

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日本の「国民病」ともいわれる花粉症が猛威を振るっている。’26年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は都内で1.4倍程度、東北地方では前年比で最大5倍にもなることから、「いつもの薬が効かない」と訴える人が増えているのだ。多くの花粉症患者を診ている一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介氏が話す。

「例年よりも2割ほど花粉症の症状を訴える患者が増えています。全国的に子供の有病者が増えているのも近年の特徴。また、年々症状が悪化する患者さんも増えています」

日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会の’21年版ータによると、ここ20年で5~9歳のスギ花粉症を含むアレルギー性鼻炎の有病率は4倍に増加し、10代は約20%から50%へと増えている。

花粉症による経済損失は年間約10兆円!

当然、成人への影響も甚大だ。今や2人に1人が発症していることから、厚生労働省が’24年に作成した資料では花粉症によって年間約10兆円もの経済損失が発生している可能性が指摘されている。その症状で著しく集中力が低下し、仕事に悪影響を及ぼすためだ。

花粉症歴20年の50代男性は「名刺交換のときにお辞儀したら、水のような鼻水がドボドボ溢れて差し出した名刺がびちゃびちゃになった」と嘆息する。花粉症歴25年の小野利恵子さん(仮名・31歳)も次のように話す。

「今年は1月7日から新しい薬を服用するようになって、だいぶラクになったのですが、昨年は薬の効きが悪くて大変でした。目のかゆみが治まらず、ピッコロ大魔王のように上瞼が腫れてしまって……。
人に会いたくなくなるわ、仕事中に鼻をかみすぎて上司に注意されるわでツラすぎた」

花粉症“重症者”の悩みとは…

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花粉症歴25年の小野利恵子さん(仮名・31歳)
小野さんが花粉症になったのは6歳のとき。アレルギー検査を受けたところ、スギ花粉に対する反応がほぼ最大値を示し、以降、毎年2~5月は“重症者”として過ごすことを余儀なくされたという。

「シーズン中は家に帰ったら玄関で服を脱いで洗濯機を回し、シャワーを浴びたら床掃除をするのが日課です。洗濯が終わったら室内干しして、洗濯槽の内側をペーパータオルで拭くことまでがセット。

当然、薬を飲んで“洗眼”して点鼻薬を使用して寝るのですが、それだけやってもお酒を飲んで辛いものを食べたりすると、急にスイッチが入ってくしゃみが止まらなくなる」

普通の生活が送れなくなってしまう

伊藤氏によると、重症患者のツラさは想像を絶する。

「“アレルギーマーチ”といわれることもありますが、成長するにしたがって花粉症を含むアレルギー性鼻炎からアレルギー性結膜炎、喘息、アトピー性皮膚炎などを次々と発症してしまう人もいます。

そうなると皮膚はただれて、息苦しくなり、目や鼻は機能しなくなる。発熱してずっと気だるさを感じ、普通の生活が送れなくなってしまう」

花粉をガードするだけでは不十分

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小野さんが服用中の薬
花粉症の予防策は、とにかく花粉をガードするのが第一だが、それだけでは不十分。実は健康的な食生活のなかにも症状を悪化させるリスクが潜んでいるのだ。

「動物性油脂に多く含まれる飽和脂肪酸は取りすぎると体内で、アレルギー反応や炎症を引き起こす化学物質であるヒスタミンを過剰に放出させます。発酵過程でヒスタミンを生成するビールや赤ワインも同様。

また、免疫細胞の7割は腸にあるため、腸内環境を乱すものは、総じて症状を悪化させる原因となりやすい。気つけにエナジードリンクを飲む人も多いでしょうが、カフェインの血管収縮作用で粘膜が弱りやすくなるうえに過剰な砂糖による血糖値の乱れでストレスがかかり、炎症を引き起こしやすくなる点には注意が必要です」(伊藤氏)

ほかにも注意すべき食材

このほか、花粉に含まれるアレルゲン(アレルギー原因物質)に似たタンパク質を含む食材もあるという。

「スギ花粉症の人はトマト、シラカバ花粉症の人はリンゴや桃などのバラ科の果物、ブタクサ花粉症の人はメロンやきゅうりなどのウリ科の食物を食べると、アレルギー症状を引き起こしてしまう可能性がある。アレルゲンは熱に弱いため加熱調理すればよいというケースもありますが」(同)

伊藤氏によると、毎日わずかなアレルゲンを舌の下に含ませる舌下免疫療法で徐々に花粉症を克服する人も増えているというが……症状を悪化させるアレルゲンの安易な摂取には要注意!

花粉症を悪化させる食べ物の数々

花粉症が悪化する食べ物とは? 医師が警告する“意外なNG習慣”
写真はイメージ
飽和脂肪酸系:バター、生クリーム、チーズ、脂身の多い肉類、加工肉、ファストフードなど

飽和脂肪酸を多く含む食品は腸内環境を乱し、ヒスタミンなどの炎症物質を過剰に放出させる可能性あり。脂っこいものを控え、野菜や魚を中心にするほうが◎。


アルコール、カフェイン:ビール、赤ワインは特に悪化させる可能性あり

アルコールは血管を拡張させて鼻詰まりを悪化させるほか、ヒスタミン放出を促進しやすい。特にビールやワインは発酵過程で生成されたヒスタミンを含むという。

香辛料:唐辛子、コショウ、カレー、麻婆豆腐など

刺激の強い香辛料がたっぷり入った食品は、鼻や喉の粘膜を刺激して、くしゃみや鼻詰まりを悪化させる原因となりやすい。花粉症発症のスイッチとなることも。

高糖質飲料、菓子類:炭酸飲料や甘いジュース、クッキー、チョコなど

腸内の細菌環境を乱して、炎症を促進する可能性あり。免疫力を低下させるリスクも。甘いものを取りたい場合にはハチミツや黒砂糖などの甘味料のほうが○。

アレルゲンに似たタンパク質を含む食材

スギ・ヒノキ花粉症限定:トマト

スギ花粉に含まれるアレルゲンと類似構造を持つタンパク質が含まれているとされ、スギ花粉症の人はトマトに対してアレルギー症状を発症する可能性あり。

シラカバ花粉症限定:リンゴ、桃、さくらんぼ、梨、イチゴ、びわ

シラカバ花粉に含まれるアレルゲンと類似構造を持つタンパク質を有し、アレルギー症状が出る可能性あり。キウイ、アーモンド、セロリ、にんじんなども△。

ブタクサ花粉症限定:メロン、スイカ、きゅうりなど

ウリ科の食品にはブタクサ花粉に含まれるアレルゲンと類似構造のタンパク質があり、アレルギー反応が出る可能性あり。バナナやアボカドに反応する可能性も。


【一之江駅前ひまわり医院院長 伊藤大介氏】
東大医学部卒業後、外科博士課程修了、外科医を経て内科医・皮膚科医に転身。著書に『健康診断でここまでわかる』(文春新書)
花粉症が悪化する食べ物とは? 医師が警告する“意外なNG習慣”
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介氏
※2026年4月7日・14日合併号より

取材・文/週刊SPA!編集部 

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