「健康のため」と信じて続けている食品や習慣が、実は体調悪化の原因になっているかもしれない。乳酸菌飲料、ゼロカロリー食品、糖質制限、断食、長時間のジョギング……。
医師たちに、世間で人気の健康法の“効かない理由”と注意点を聞いた。

健康食品の真実

医師が警告する「実は逆効果/意味ナシ」食品と健康法。「カロリ...の画像はこちら >>
「健康のために」と毎日口にしている食品や定期的に実践している健康法があるという人は少なくないだろう。だが、世に溢れる健康食品&健康法の多くは、効果なし、もしくは決して効果が立証されていないことをご存じだろうか?

まずは、健康食品の真実を紹介しよう。「腸活ブームを受けて、食品メーカー各社が開発している乳酸菌飲料やサプリは注意が必要です」と話すのは、消化器外科医で予防医療のヘルスコーチとしても活動する石黒成治氏だ。

「腸には約1000種類の細菌が共生していますが、そのベストなバランスには個人差がある。にもかかわらず、特定の乳酸菌を多く含んだ飲料やサプリを摂り続けたら、腸内細菌のバランスが崩れかねません。

乳酸菌が“生きたまま腸に届く”と謳う商品もありますが、胃酸で殺菌されて腸まで届くのがナチュラルな状態。だから、大量摂取するとアレルギー反応が起こり、下痢などの症状を引き起こす恐れがある。添加物や果糖ブドウ糖液糖など体に悪い成分も含まれる商品もあるので、私は飲まないようにしています」

医療関係者が避ける食品

同様の理由で、「カロリーゼロ食品」も避ける医療関係者が多いという。

「甘味を感じるのに、実際にはカロリーゼロとなると、脳が混乱するのです。いくら口にしてもカロリーが吸収できないから、脳は『もっと食べなければ』という信号を送って食欲が増す。結果的に痩せるどころか太る人もいるし、糖尿病リスクが高まる」

また、カロリーゼロ食品には近年、健康リスクが指摘されるようになった物質が含まれていることもあるという。

「例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテームといった人工甘味料は疫学研究でリスクが指摘され始めています。また、エリスリトールは血管の収縮や血栓分解能力の低下を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めるという論文が米国で発表されています」

糖質制限ダイエットは糖尿病リスクを高める?

医師が警告する「実は逆効果/意味ナシ」食品と健康法。「カロリーゼロ食品」を避ける医療関係者が多いワケとは
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多くの人が愛用しているサプリメントへの過信も禁物だ。

「膝の痛みに効くとされる軟骨やヒアルロン酸の生成に不可欠な成分であるグルコサミンやコンドロイチン含有のサプリがありますが、これらの成分は消化管で分解されて軟骨まで届きにくいという研究報告が数多く出ています」

昨今は減量目的で糖質制限ダイエットに取り組む人も多いが、石黒氏は「必ずリバウンドする」と断言する。


「その背後には、血糖値を下げる働きがあるホルモンの一種、インスリンに対する抵抗性(効きにくさ)があります。糖質を制限して高タンパク食を摂ると食後血糖値の急上昇が抑えられ、インスリン抵抗性の改善に役立つのですが、過剰なタンパク質の摂取は逆にインスリン抵抗性を誘発して糖尿病リスクに繫がる可能性もあるのです」

“正しく”やれば効果的だが…

一方で、ファスティング(断食)は“正しく”やれば効果的だが、多くの人が誤って実践している可能性が……。

「2~3日のファスティングなら、脂質代謝が活性化してケトン体(体や脳の代替エネルギー源)が生み出され、脳がクリアになる効果があります。しかし、長期間の断食は体にとってピンチと判断され、代謝が悪化するほか、腸内細菌の餌が不足して菌が腸の粘液を食べ始め、腸壁を守る防波堤が削れていくので、毒素や健康を害する細菌が体内に入りやすくなる。

一方で2泊3日の“断食合宿”もブームになりましたが、これも注意が必要です。その多くは酵素ジュースだけを飲み続けるというプログラムなのですが、糖分が多く含まれている製品だと血糖値が上昇するだけ。“断食明け”にはかえって脂肪を蓄積しやすくなる。無理してファスティングするよりは、毎日12時間の断食をやるほうが効果的。実際、私も12時間は腸を休ませるようにしています」

かといって、急に運動に目覚めるのもよくないという。

「長時間、体にストレスを与えるマラソンは体に悪影響。“ホルミシス”といって、有害なものでも低刺激、短時間であれば有益な活性作用をもたらすのですが、マラソンは過剰なんです。心臓や内臓への負担に加え、活性酸素の増加による細胞の酸化リスクもある。運動するのであれば、毎日2、3分だけ全力疾走するほうがはるかに健康的です」

勃起力UPの健康法も逆に体調悪化の怖さが

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勃起力向上を目的とした健康スクワットも、ここ数年は“チントレ”として話題になってきたが、これもまた効果が薄いという。ED治療専門医院とし20年以上の歴史を持つ浜松町第一クリニックの竹越昭彦院長が話す。


「ペニスに近い太ももの周辺の筋肉を鍛えると勃起力向上に繫がるなどといわれますが、血流がよくなって結果的に勃起しやすくなる可能性はあっても、直接的な効果を立証するデータはありません。定期的な運動がED改善に繫がりやすい、という程度です。血流をよくするならED薬のほうがはるかに効果的です」

一時期話題を呼び、今でも実践する芸能人が多数いる「ノーパン健康法」も効果が薄くリスクがあるという。

「締めつけずに通気性をよくすることで良質な精子がつくられるといわれましたが、布団についた菌は簡単に洗い流せません。不衛生になると免疫力が下がって、ノーパン健康法によっていんきんたむしや皮膚病のリスクが上がる可能性のほうがあります」

亜鉛のサプリは飲み過ぎに注意

チントレの一環で、亜鉛のサプリを飲むという男性も少なくないが、飲みすぎには注意が必要だ。

「男性ホルモンであるテストステロンの合成に必要な亜鉛のサプリを飲む人も多いのですが、摂りすぎると鉄の吸収を阻害し、貧血を引き起こす可能性があるんです」

ちなみに、昨年からSNS界隈でオカルト的人気を博している“鍼の上に寝る”シャクティマットなる健康グッズは「皮膚と腸は繫がっているので、トゲトゲの刺激が健康増進に繫がる可能性はある」として石黒氏も愛用しているとか。世に溢れる健康食品&健康法は玉石混交と知るべし。

「医者が断言!」効果なしor健康リスクのある食品&健康法

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乳酸菌飲料・サプリ △

各社が独自開発した乳酸菌飲料などがあるが、特定の菌の増加は腸内環境を崩すことも。体を害する果糖ブドウ糖液糖などが含まれる製品も。

カロリーゼロ食品 ×

甘味を感じるのにカロリーゼロだと脳が「もっと食べよ」と判断し、かえって太ることも。含有する人工甘味料には発がん性が指摘されるものも。

軟骨成分系サプリ ×

多くの研究で、グルコサミンやコンドロイチンなどの軟骨成分は消化器官で分解されて軟骨まで届かないことが報告されている。

糖質制限ダイエット △

血糖値上昇を抑えてインスリン抵抗性の改善が期待できる半面、タンパク質を過剰に摂取すると、逆にインスリン抵抗性を誘発しかねない。

ファスティング(断食) △

長期間やると腸内細菌の餌不足で菌が粘膜を食べ始めて腸内環境が悪化する可能性が。
糖分の多い酵素ジュースで血糖値上昇リスクも。

マラソン、長時間のジョギング △

低刺激、短時間のストレス付与ならばホルミシスという有益な活性作用を生むが、マラソンの刺激は過剰。細胞の酸化リスクも高まる。

加圧式トレーニング ×

専門家の指導なしに圧力を加えすぎると神経障害や血管障害を引き起こす。血栓症の危険性が高まるため高血圧、心臓疾患のある人は避けよう。

ふくらはぎ健康法 ×

揉むだけで健康になれると一時話題になったが、ふくらはぎは血栓ができやすく、揉んで血栓がはがれると、詰まりを起こし呼吸困難リスクも。

酸素カプセル △

スポーツ選手などが疲労回復の目的で利用して一時話題になったが、高濃度酸素環境が筋肉の代謝を改善する一方、効果を感じにくいとされる。

下半身用の食品&健康法は…

チントレスクワット △

血流をよくする効果、筋トレによるテストステロン(男性ホルモン)を増やす効果は期待できるが、スクワットそのものに勃起力UP効果はなし。

ノーパン健康法 △

陰嚢が締めつけられず、風通しがいいため精巣がよく働くとされるが、竹越氏は「パンツをはいたほうが衛生的で病気のリスクが低い」と話す。

亜鉛サプリ △

テストステロンの合成に亜鉛が必要であるため、サプリを利用する人が多いが、過剰摂取は鉄の吸収を阻害し、貧血症状をきたすことも。

【消化器外科医・ヘルスコーチ 石黒成治氏】
国立がん研究センター、愛知医科大学病院などを経て、’18年から予防医療のヘルスコーチとして活動を開始。YouTubeでも情報発信
医師が警告する「実は逆効果/意味ナシ」食品と健康法。「カロリーゼロ食品」を避ける医療関係者が多いワケとは
消化器外科医・ヘルスコーチの石黒成治氏
【浜松町第一クリニック院長 竹越昭彦氏】
日本医科大学付属病院などを経て’04年にED治療専門医院を開院。
著書に『40代からの心と体に効く[生涯SEX]のすすめ』(小社刊)
医師が警告する「実は逆効果/意味ナシ」食品と健康法。「カロリーゼロ食品」を避ける医療関係者が多いワケとは
浜松町第一クリニック院長の竹越昭彦氏
※2026年4月7日・14日合併号より

取材・文/週刊SPA!編集部

―[不健康になる!危険習慣]―
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