退職理由として「人間関係」や「職場環境が合わなかった」が常に上位に挙がるなか、現場では今日も、教育係たちが答えの出ない問いと向き合い続けています。
今回は、過去に大きな反響を呼んだ実録エピソードから、新入社員たちによる驚きの言動をプレイバック。歓迎会に向かうタクシーから突然飛び降りた一幕、会社の規定に納得できず総務にまでクレームを入れた一幕……。記事の後半では、早期離職をめぐる数字から見えてくる、組織と個人の「すれ違い」にも迫ります。
異様な雰囲気の新入社員に困惑
多くの企業が新入社員を迎え入れる春。新卒はもちろん、転職してきた人たちで職場の空気は一変する。とはいえ、せっかく就職したにもかかわらず、すぐに退職してしまう人もいる。業務内容や職場環境が合わなかったなど、人によって理由はさまざまである。半導体関連企業に20年以上勤めている真田広嗣さん(仮名)が、すぐに辞めてしまった新入社員で印象的だった事例を明かす。
「今年の新人の教育係を任せることにしたからよろしく!」
ある日、真田さんは係長から突然の指名を受けた。学生時代から人付き合いには苦手意識がなかったことから、当初はこの任務を楽観的に受け止めていたが……。
新入社員の配属日、真田さんは期待に胸を膨らませながら研修室へ向かった。そこで目にしたのは、他とは明らかに違う雰囲気を醸し出す一人の新入社員だった。
「Aさんは誰とも話すことなく、終始うつむき加減で一点を見つめている。やはり、どこの会社にも一人や二人は変わった人間が入るものだなと」
真田さんは内心そう思いながら、自分が担当する予定の新入社員の名前を呼んだ。すると、その異様な雰囲気を醸し出していた新入社員が反応したのだ。
「一瞬、“まじかよ!”と声が出そうになりましたが、まあ、少し性格が暗いだけかもしれないし、早く心を開いてくれるように頑張ろうなんて考えながら、軽く挨拶をして事務所へ連れて行きました」
それから毎日、真田さんはAさんにつきっきりで教育を行った。しかし、その過程で驚くべき事実に直面する。
「びっくりするくらい理解力がないんです。いちおう、うちは大きな会社なので、入社試験をパスしたということは勉強自体はできるはずなのに、全くもって理解力や応用力がない。同じことを何度教えても覚えられず、毎回初めて聞いたような態度でメモをとる。でも、そのメモは何の役にも立っていないという感じで驚きました」
歓迎会に向かう途中で「やっぱり帰ります!」
しばらく経った頃、職場に馴染めていない様子のAさんを同僚たちで歓迎会に誘った。彼は少し困った様子を見せながらも承諾したという。だが……。「なんと店へ向かう道中、信号待ちしたタイミングで『やっぱり帰ります!』とタクシーから飛び出して去っていったんです」
この出来事を境に、周囲との関係は悪化。数カ月後、Aさんは会社に来なくなった。
「母親の言葉に開いた口も塞がりませんでした。たとえば、『おたくの社員の接し方が悪すぎる!』『全員発達障害だろ!』などと言い放って、結局は半年間の休業手当までもらって退職していきましたね」
会社の規定に納得せず、総務にクレーム
「半導体ブームで会社は忙しくなり、久しぶりに大量の新入社員が採用されました。そのころのわたしは全体の指導をする立場で、あるとき、県外での研修のため、彼らの出張手続きの手伝いをしていました」
会社の規定では、出張費は事後清算だったが、新入社員のBさんが「なぜ事前にお金がもらえないのか」と食い下がった。
「確かに新入社員のころは給料も少なく、1万円程度の出張費といえども厳しいことは理解できますが、処理の都合上それはできないと伝えました」
だが、真田さんがいくら説明しても納得せず、総務にまでクレームを入れる始末だった。
「結局、総務からも断られたようで、ぶつぶつと独り言のように文句を言っていました」
自己中心的な態度が招いた結末
その後も、Bさんの身勝手な行動は続いた。「先輩が残業して頑張っているなか、定時を過ぎると不機嫌そうに『帰っていいですか?』と言って本当に帰ったり、急遽欠員が出たときのフォローをお願いされたときも『オンラインゲームの約束があるので』と断ったり、とにかく自己中心的でまわりに気をつかわせていました」
周囲の反応としては、当初は半ば笑い話で済んでいたが、現場に余裕がなくなるにつれて、いよいよ事態は深刻化。飲み会の場で、ある先輩から叱責を受けた。
「注意を受けてしばらくは気を付けているものの、すぐに元通りになってしまい、改善が見られませんでした」
こうして職場での人間関係は絶望的になってしまった。そして、Bさんは1年たらずで退職。
「今でも、どのように接するのが正解だったのかわからないままです」
■ 数字が語る「早期離職」と、組織に今問われていること
「どのように接するのが正解だったのか、今でもわからない」――真田さんのこの言葉には、現場で向き合う多くのベテラン社員の本音が凝縮されています。①会社の「規模」で、これほど違う離職率
今回のエピソードの舞台は半導体関連でしたが、厚生労働省の同調査によれば、事業所規模による離職率の差は歴然としています。従業員5人未満の企業では大卒3年以内離職率が57.5%にのぼる一方、1000人以上の大企業では27.0%。
【事業所規模別・大卒3年以内離職率】
・5人未満 :57.5%
・5~29人 :52.0%
・30~99人 :41.9%
・100~499人:33.9%
・500~999人:31.5%
・1,000人以上:27.0%
(出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」2025年10月公表)
②「立替が当たり前」の職場で、すれ違いは起きる
出張費をめぐるBさんの不満は、実は多くの職場で起きていることでもあります。株式会社pringの調査では、「経費を自腹で支払ったことがある」と答えた会社員は64.4%。約3人に2人が、一度は自分の財布から業務上の費用を立て替えた経験を持つという現実があります。
出張費の仮払い制度を設けている企業もありますが、立替精算が「当然のルール」として根付いている職場も多いのが実態です。ベテラン社員にとっては「慣れて当たり前」のことでも、入社間もない社員にとっては、給与が振り込まれる前に数万円が財布から消えていく、切実な問題でもあります。
「会社のルールだから」と一言で片付けられたとき、新入社員の側に残るのは納得感ではなく、置いてきぼりにされた感覚かもしれません。ただ、上の世代の方々もまた、そのルールの中で必死に踏ん張ってきた人たちです。自分が当たり前だと思ってきたことが、いつの間にか「古い常識」になっていく——その戸惑いもまた、決して小さくはないはずです。
<取材・文・再構成/日刊SPA!取材班>
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