1980年代の漫才ブームを牽引し、楽曲「恋のぼんちシート」でも一世を風靡した漫才コンビ、ザ・ぼんち。長いキャリアを重ねた大ベテランでありながら、近年は結成16年以上の漫才師による賞レース『THE SECOND~漫才トーナメント~』への出場をきっかけに、若い世代からも改めて注目を集めている。
今年4月には、関西漫才界で最も権威ある賞のひとつ『第61回上方漫才大賞』でコンビとして二度目の大賞を受賞した。70代を迎えてなお、なぜ二人は挑戦を続けるのか。里見まさと、ぼんちおさむの二人に話を聞いた。

ザ・ぼんちにとって、THE SECONDが「セカンドチャンスになった」

――THE SECONDに出場しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

里見まさと(以下、まさと):5年ほど前から担当してくれているマネージャーの意向で、普段僕らが出ている大阪・なんばグランド花月だけじゃなく、大宮、沼津、幕張、福岡など、出演者もお客さんも若い劇場に出るようになったんです。そこで僕らのネタがどれだけ通用するのかを試していました。

ぼんちおさむ(以下、おさむ):やってみないとわからんもんで、意外なところがウケたりするんですよ。学園祭にもたくさん行きましたね。

まさと:もちろん全部がウケたわけではないので、ハマらないネタは入れ替えていきました。その流れで、2024年のTHE SECONDに出てみようと。若い人たちのなかで僕らがどれだけ通用するのかを見たかったんです。

――2025年にはグランプリファイナルに進出。披露した漫才が大きな反響を呼びました。


まさと:あの番組に出られたことは、僕たちにとって本当に大きかったですね。あの6分の漫才で、「ザ・ぼんちはまだまだやれるぞ」とアピールできた。復活というか、文字通りセカンドチャンスになりました。

おさむ:あんなに反響があるとは思ってなかったですし、THE SECONDでネタを披露してからは、僕らにとって第二の漫才ブームが来たような感覚です。80年代の漫才ブームのときは同年代のコンビと戦っていましたけど、今度は年齢が全然違う。そのギャップのなかで、どれだけ自分たちが通用するかという面白さも感じています。

「メッシ」と「恋のぼんちシート」で再びテレビへ

「まだ終われへん」ザ・ぼんちが上方漫才大賞、再受賞。70代の二人が今なお“新しい挑戦”を続ける理由
――THE SECOND以降、仕事にも変化はありましたか。

まさと:おさむさんの「メッシ、メッシ、メッシ、おかずも食べなさい!」っていうギャグが、すごく評判がよくて。他の番組に行っても、「どんなネタをやってもいいけど、“メッシ”だけは入れてください」って言われることが多いんです。

――THE SECONDでの反響は劇場だけにとどまらず、お笑い番組やバラエティ番組への出演にもつながりました。最近ではNHKの音楽番組『うたコン』で「恋のぼんちシート」も披露されましたね。※「恋のぼんちシート」は1981年に発売され、漫才ブームの熱気とともに大ヒットしたザ・ぼんちの代表曲。

まさと:THE SECONDに出ていなかったら、『うたコン』にも出ることはなかったと思います。
「恋のぼんちシート」をおよそ45年ぶりにフルバンドで歌ったんですけど、めちゃくちゃ緊張しました。新人みたいなテンションで皆さんと接していましたよ。やっぱり、いろいろ挑戦しておくべきですね。

「上方漫才大賞を獲りたい」と言い続けた

「まだ終われへん」ザ・ぼんちが上方漫才大賞、再受賞。70代の二人が今なお“新しい挑戦”を続ける理由
――4月には二度目の上方漫才大賞も受賞されました。

まさと:50歳でコンビを再結成したときの目標のひとつに、上方漫才大賞はありました。全国的にはそこまでメジャーじゃないかもしれないし、大賞を獲ったからといって永遠に仕事があるわけでもない。でも、漫才をしてきた証として何か残したかったんです。上方漫才大賞の歴史にザ・ぼんちの名前が刻まれるのは、漫才師としてやってきた甲斐があるなと思います。

おさむ:今ならM-1グランプリで優勝するほうが知名度も上がるし、人生も変わると思います。でも僕らにとっては、最初の目標として目指す場所でした。今回の受賞は、一生懸命仕事をしてきたことが報われたというか、頑張った甲斐がありましたね。

まさと:受賞が決まったときは、喜びのあまり崩れ落ちました。
2025年の秋口くらいから、「欲しい、欲しい」ってずっと公言していましたから。

 キャリア55年を迎えてなお、ザ・ぼんちの歩みは“回顧”ではなく、むしろ新しい局面に入っている。80年代の漫才ブームを駆け抜けた二人は、今もなお新しい観客と出会い、新しい舞台に立ち続けている。その姿勢こそが、世代を超えて支持を集める理由なのかもしれない。

(取材・文/松嶋三郎、撮影/長谷英史)

【松嶋三郎】
浅く広くがモットーのフリーライター。紙・web問わず、ジャンルも問わず、記事のためならインタビュー・潜入・執筆・写真撮影・撮影モデル役など、できることは何でもやるタイプ。X(旧Twitter):@matsushima36
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