日経平均株価は史上最高値の7万2000円台をつけるなど株価の上昇が止まらない。そんな中で「日経平均株価はまだまだ上がる余地がある」と話すのは資産億超えの個人投資家である結喜たろう氏だ。
その上昇する日経平均株価を牽引するのは「半導体やAI、防衛関連などの国策銘柄にある」と氏は指摘する。半導体銘柄といえば、時価総額ランキング1位に躍り出て一時は60兆円越えにもなったキオクシア(東P・285A)の上昇率が目覚ましい。半導体銘柄はこれから買えるのか。氏の分析をお届けする。
日経平均7万超え。トヨタを抜き時価総額1位のキオクシア(60...の画像はこちら >>

半導体・AI、防衛など国策銘柄に注目せよ

「日本株は完全に今までのセオリーとはガラッと異なるフェーズに入りました。1年前に日経平均株価は史上最高値の3万8000円台を越えたと思ったら、一気に倍の7万2000円台になっています。2018年時点で時価総額10兆円を越えていたのはトヨタ自動車(東P・7203)くらいでしたが、現在では時価総額ランキング上位30位までの銘柄が10兆円を越えています。それだけ日本株に注目が集まっているのでしょう」

そう話すのは個人投資家の結喜たろう氏だ。長年、株式投資で資産を増やしてきた。そんな氏が今注目しているのは「国策銘柄」なのだとか。

「2025年秋に自民党・石破政権から高市政権に首相が交代し、高市氏は『責任ある積極財政』を掲げています。2026年(令和8年度)予算を見ると、特にAI・半導体関連は前年度から大幅に増加しており、1.2兆円規模の支援が計上されています。一方、防衛力強化については、前年度からの増加率こそ大きくありませんが、防衛関係予算全体では約9兆円にのぼり、金額規模は非常に大きくなっています。


つまり、AI・半導体は『伸び率の大きい国策テーマ』、防衛は『すでに巨大な予算が継続して投じられている国策テーマ』として見ることができます」

値上がり率ランキングの常連組

株式投資には「国策に売りなし」という格言がある。政府の経済政策に関連する銘柄は中長期的に株価が上昇しやすいので、売りを急ぐべきではないという意味だ。具体的に国策銘柄に該当する株には何があるだろうか。

「半導体・AI関連では、メモリー半導体のキオクシア(東P・285A)に注目が集まっています。加えて、AIデータセンターを支える光通信関連として、フジクラ(東P・5803)なども確認しています。防衛関連では、元請けにあたる三菱重工(東P・7011)やIHI(東P・7013)、そこから部品・素材・機器などを受注するサプライヤーとして、ナブテスコ(東P・6268)や東京計器(東P・7721)などを見ています」

実際にこれらの銘柄を選挙前後で比べてみると値上がり率ランキングによく登場していたという。

「2025年秋に高市氏が自民党総裁選挙に勝った翌日や、2026年になってから解散総選挙報道が出た翌日、衆議院選挙の開票日の次の日には半導体・AI銘柄関連や防衛力強化関連の銘柄はよく上がっていました。国策銘柄は3段階のフェーズを経るのが王道のパターンです。まず政策発表された思惑フェーズで一度上がりPERが急拡大します。この時点では業績は伴っていないので、一旦調整のフェーズに入り下がります。その後、実際に受注して設備稼働するなかで実際に業績が伴ってくるとEPSも成長して大きな上昇に入る。この3番目の上昇を捉えられると大きな利益が見込めます」

国策銘柄を取引する場合には、どのフェーズにあるのかを見極めながら取引をすることが重要になるのだ。

日経平均7万超え。トヨタを抜き時価総額1位のキオクシア(60兆円)は今から買っても大丈夫? 億超え投資家の最適解
図解:国策銘柄の上昇パターン


時価総額ランキング1位のキオクシア、これから買っても大丈夫!?

実際、キオクシア(東P・285A)は直近で株価10万円をつけるなど上昇しているが、氏にとっては売買の対象になるのだろうか?

「半導体・AI関連銘柄はコロナ禍で世界的な半導体不足に陥ったあと、生成AIの登場で一気に様相が変わります。
昨今ではAIデータセンターをどう整備するかというフェーズになっています。昨今の株価は大きく上昇してる一方で、四半期業績も大きく伸びている。そのため単純に割高化しているとは言い切れません。とはいえ、短期間で株価が大きく上昇しているのでチャート的な過熱感はかなり高いのが実情です。ただ、勢いがあるからといって何も考えずに買うのは危険です。適切なチャート分析を行い、どの価格帯に株価の節目があるのかを見るのが大切です」

「あくまで私の投資スタイルでみた場合には」と前置きしながら氏はポイントを指摘する。キオクシアの株価を見た時、11万円~12万円超えのゾーンと、一旦下がって調整する8万3000円台~10万円台、損切りの目安となる6万5000円~8万3000円台が目安になるとか。

「株価10万円を付けて以降も、さらに株価が伸びるならばAIメモリーの需要は継続し、半導体株全体の強さがあります。一方で株価は一本調子では上がり続けないのでチャート的にはどこかで下落して調整が入る。そのポイントが前回高値の8万3000円台です。これを下回ると半導体株全体が利益確定や需給の悪化になる可能性があります。8万3000円台を割り込むか維持するかが大事なポイントになります」

株価が8万3000円台を維持できるようならば押し目買いで上昇のチャンスあり。
一方で8万3000円台~6万5000円台を下回る場合には損切りの対象になってくるという。株式投資を行う場合には高値を掴まないことが鉄則。急騰している株を取引する際には売買する株価がどの位置にあるかはしっかりチェックしたいところだ。

<構成/上野智(まてい社)>

※本記事は個人投資家の見解を紹介するものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。株価は市場環境や業績、需給などによって大きく変動する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。

【結喜たろう】
個人投資家・一級建築士/工学修士 建築設計事務所勤務を経て独立。 空間建築デザイン業務と並行しながら、個別株を中心に資産運用を実践。不況により事業が厳しい状況に追い込まれる中、趣味で続けていた投資が経営の立て直しに大きく貢献し、億トレーダーの仲間入りを果たす。個人投資家グループや証券会社などからの講演依頼も多く、四半期成長率を重視した銘柄選定と、チャート分析に基づく論理的な売買手法に定評がある。著書『四半期成長率とチャート分析』(パンローリング社刊)は2024年ブルベア大賞を受賞。ラジオNIKKEI『きらめきの発想』準レギュラー。
パンローリング主催『ファクター分析投資スクール』担当講師。
X(旧Twitter):@tarouyuuki0322
編集部おすすめ