人間の体質は千差万別。生活や環境の些細な変化で、体調がガラリと変わることも少なくない。

先日、X(旧Twitter)でインフルエンサー・実業家のZ李氏が「コーヒーやめたらかなり調子よくなった。毎日ブラック500~1000ml飲んでたんだけど、水と緑茶に変えたら胃の調子とか全部良くなった。」と投稿。これに対して数百のコメントがつき、インプレッションは200万を超えている。

嗜む人は数知れず。距離感も人それぞれではあるが、具合が悪くなっては元も子もない。そうならないためにも必要最低限の知識は必要かもしれない。今回はコーヒーにまつわる素朴な疑問を四谷内科・内視鏡クリニックの医師・高木謙太郎氏に解説してもらった。

“コーヒー断ち”のX投稿が大きな反響。「適量」を守らず、コー...の画像はこちら >>

多すぎるカフェインがもたらすもの

投稿のコメント欄には「コーヒーをやめたら、体のダルさがなくなった」などの共感の声が相次いでいる。

コーヒー断ちの効果について、高木氏は次のように話す。

「コーヒーに含まれるカフェインの影響で中途覚醒や不眠などが起こりやすくなります。やめて睡眠の質が向上したことにより、体調が良くなったと考えられるのではないでしょうか」

つまり、「直接」ではなく、良い睡眠が取れるようになり「間接的」に、体調が上向く場合もあるようだ。

「元気」ではなく「覚醒」

また、高木氏は1日500~1000mlというコーヒーの摂取量にも着目した。

「カフェインには、鎮静作用のあるアデノシンという物質の効果を抑制する作用があります。しかし、長期摂取によって耐性ができやすい特徴もあり、カフェインの摂取量が増加するというのはよく見られる傾向ですね。
摂取量が増えると、効果が切れた時に頭痛や倦怠感、集中力低下などの離脱症状が起きる例もあるので、1日の体調の波が大きくなります。コーヒーをやめたことで、波が安定しやすくなったのを『元気になった』と感じるのではないかと思います」

では、カフェインの適正な摂取量とは、どれくらいのものなのか。

「個人差はありますが、一般的には1日400mg以下と言われています。レギュラーコーヒー1杯で100mgほどのカフェインが含まれているので、1日3~4杯が目安ですね」

筆者は、仕事中などに約2時間で3~4杯を飲んでしまうこともある。そのほかの時間に飲まなければ1日の限度量に収まるのだが、短時間で一気に摂取しても問題はないのかも気になるところだが、「ほかの時間帯に飲んでいないのなら、大丈夫だと思いますよ」と高木氏。

カフェインは“エネルギーの前借り”なのか

コーヒーやエナジードリンクなど、カフェインを含む飲み物を摂って、実際にシャキッとした気分になったり、眠気がなくなった経験がある人も多いだろう。

ただ、筆者の知人はそれを「元気の前借りをしているように感じる」と話す。彼は、カフェインの錠剤を飲んでいたが、効果が切れるくらいのタイミングで猛烈な疲労感に襲われていたという。

「それはうまい表現ですね。理論的にはカフェインを摂っても、体が実際に元気になるわけではないですからね。一時的に血圧や心拍数が上がっているのを、元気と錯覚しているわけです」

つまり、カフェインによって「元気のようなもの」になり、本来は残しておきたかったエネルギーを、実際に前借りして使ってしまっているわけだ。

とはいえ、カフェインには依存性があるため、多く摂取している人が摂取量を減らすのにも一苦労だ。
では、「我慢」以外にプラスアルファで脱カフェインをするいい方法はないのだろうか。

「シンプルですが、カフェインレスのコーヒーに置き換えてみるのも一つの手ですね。コーヒーの味わいはあるのでプラセボ効果のような状態にもなりやすいと思います」

一方で、体に良い作用をもたらす部分もある。国立がん研究センターの2015年の発表では「コーヒーを1日3~4杯飲む人の死亡リスクは、全く飲まない人に比べ24%低い」とされた。

「コーヒーには、2型糖尿病や心筋梗塞のリスクを下げたり、うつ病の発症を抑えるという報告もありますね。もちろん、適量を守った上での話ですが」

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飲み過ぎに心当たりがある人は、まずは1日の杯数を意識することから始めてみてもいいかもしれない。カフェインレスへ切り替えるなら、家族にこっそり入れ替えてもらう……なんて方法も、意外と効果があるのかもしれない。

<取材・文/Mr.tsubaking>

“コーヒー断ち”のX投稿が大きな反響。「適量」を守らず、コーヒーを“飲みすぎる人”がハマる落とし穴とは
四谷内科・内視鏡クリニック 高木謙太郎氏


【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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