こんにちは、シューフィッターの佐藤靖青(旧・こまつ)です。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。

ニューバランスを買おうとして、型番の数字の多さに困ったことはありませんか。見た目は酷似しているのに、片方は1万円台、もう片方は4万円台。「高いほうを買っておけば間違いない」と思いたくなりますが、ちょっと待ってください。

私自身、もともとニューバランス好きだったことからスニーカーにのめり込んだ人間ですが、最近はモデルが増えすぎて、履くまで判断できないことがあります。

今回は「普段の移動や旅行で、しっかり歩けるか」という視点から、実体験ベースで、価格帯別に個人的なおすすめを選びました。

1万円台のおすすめは「880R」。街履き用でも、歩く実力は十分

「高いニューバランスなら間違いない」は本当?靴のプロが選ぶ“...の画像はこちら >>
まずおすすめしたいのが「880R」(1万7930円)。ニューバランスの直営店だけではなく、ABCマートのグランドステージでも取り扱っています。

2000年代のランニングシューズを思わせるデザインで、分類としては街履き用。ただ、履いてみると、これがかなり歩きやすい。

私は中学から高校までの6年間、陸上部で短距離に打ち込んでいました。880Rには、当時履いていたランニングシューズに近い、素直な履き心地を感じます。


今の競技用ランニングシューズは、厚底やカーボンプレートなど進化が著しいですが、街を歩いたり旅行したりするなら、そこまでの装備が必要とは限りません。880Rでも十分だと思います。

衝撃吸収材の「ABZORB(アブゾーブ)」を搭載し、第一印象は少しかためですが、体重をかけるとクッションが働く感覚があります。底がただ柔らかいだけの靴とは違い、歩いていて頼りなさを感じにくいのも好印象です。

メッシュを使った足当たりもよく、通気性にも満足しています。「ニューバランスを試したいけれど、いきなり2万、3万円は出せない」という方には、まず履いてほしい一足です。

人気の薄底「204L」は、長時間歩くつもりなら慎重に

「高いニューバランスなら間違いない」は本当?靴のプロが選ぶ“本当に歩ける3足”と、慎重に選びたい人気モデル
ニューバランス「204L」。写真は公式HPより
一方、1万円台で慎重に選んでほしいのが、薄底の「204L」(1万6940円)です。

厚底ブームの次に注目されているのが、靴底の薄い「ロープロファイル」。すっきりした形は服に合わせやすく、見た目にひかれる気持ちはわかります。

ただ、私が履いた感想は「薄い、硬い、曲がりにくい」。長時間歩くために選ぶなら、「880R」の方を推します。

こうした違いは、店内で少し試すだけでは気づきにくいものです。軽さや見た目のよさに目が向いても、実際に街を歩くと、クッションの薄さや足の動きとの相性が気になってきます。


もちろん、デザインが好きで選ぶなら問題ありません。ただし「ニューバランスだから、どれでもたくさん歩けるはず」と考えて買うのはおすすめしません。

2万円台なら「2010」。私が半年以上履いている理由

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ニューバランス「2010」(左)と「サポーティブリバウンド」(右)。ともに筆者私物
2万円台でおすすめするのは「2010」(2万2000円)です。

私は今年3月に購入して、半年以上履いています。1日1万歩以上歩くような日にも使っていますが、私の足にはよく合っています。

この価格帯では「2002R」も人気ですが、歩きやすさで選ぶなら、個人的には「2010」のほうが好みです。

魅力は、足裏を受け止めるクッションと、立っているときの落ち着き。歩く時間と立ち止まる時間が入り交じる、買い物や旅行のような使い方に向いていると感じます。

スエードを使った外観にも高級感があり、機能だけでなく、普段の服に合わせて履きたくなるところもいい。ウォーキング目的だからといって、必ずしも「ウォーキングシューズ」のカテゴリーだけで探す必要はありません。

私はオリジナルの靴紐からサロモンのクイックレースにカスタムし、インソールもニューバランスの別売りの「サポーティブリバウンド」に交換しています。
表面の滑りにくさが気に入っていて、靴の中で足が動く感覚を抑えたい方には、こちらも試す価値があります。

サイズ選びには少し注意してください。幅広の方の場合、0.5cm大きいサイズも比較した方がベター。ただ、幅を合わせるために大きくしすぎると、今度はかかとが浮くこともあります。普段のサイズと、その前後を履き比べて選んでください。

3万円台を靴に払えるなら「990v6」はかなり魅力的

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ニューバランス「990v6」。筆者私物
予算を上げるなら、アメリカ製の「990v6」です。定価は3万9600円。後継モデルの「990v7」が登場するタイミングでもあり、販売店で値下げされた商品を見つけたら、注目したい一足です。私も3万円ちょっとで購入しました。

スニーカーマニアでもなければ、この価格は決して安くはありません。それでも、納得できる履き心地です。

底には軽さと反発性を備えた「FuelCell(フューエルセル)」を採用。足を前に運びやすく、それでいて柔らかさだけが目立つ感じではありません。
足を包む部分も丁寧につくられていて、足首まわりや甲の当たりにも気が配られています。

私が気に入っているのは、歩いている間、靴の存在が気になりにくいところです。クッションが強烈だとか、とにかく軽いとか、ひとつの特徴で驚かせるというより、全体のまとまりがいい。

また、私が選んだグレーには複数の足幅の設定があり、幅広の足でも選択肢がありました。色や在庫によって選べる幅は異なりますが、デザインだけでなく、足幅も確認したいモデルです。
ただし、購入先には注意が必要です。人気モデルゆえにコピー品も存在しています。安さだけを追いかけず、公式アウトレットや実績のある販売店から選ぶことをおすすめします。

新型「990v7」は4万9500円!正直ちょっと…

「高いニューバランスなら間違いない」は本当?靴のプロが選ぶ“本当に歩ける3足”と、慎重に選びたい人気モデル
ニューバランス「990v7」。写真は公式Xより
ここで、新型の話もしておきます。10月22日、後継モデルの「990v7」が発表されました。11月6日発売予定で、価格は税込4万9500円。ほぼ5万円です。


ニューバランスが大好きで、最新モデルをいち早く履きたい。その気持ちに5万円を出せる方なら、選ぶ楽しさはあると思います。

ただ、私自身が今買うなら、3万円台のv6を選びます。

v7を否定するわけではありませんが、私がすでに履いて、十分満足しているv6に対し、さらに1万円以上を上乗せする理由が、今の私にはないということです。

靴は、値段も含めて評価するものだと思っています。どんなにいい靴でも「その金額を払ってまで欲しいか」は別の話。毎日の移動や旅行で快適に歩きたいなら、私にとっては3万円台のv6が魅力的です。

新型が発表されたからといって、それまでのモデルが急に歩きにくくなるわけではありません。足に合うサイズを適正な価格で買えるなら、旧型を選ぶのも十分賢い買い方です。

* * *

普段使いなら880R、予算2万円台なら2010、3万円台まで出せるなら990v6。これが、実際に履いてきた私のおすすめです。

ニューバランスの数字は、歩きやすさの順位表ではありません。
人気や価格を入り口にしても、最後は「自分の足で、何をするために履くのか」で選んでください。

<取材・文/佐藤靖青>

【シューフィッター佐藤靖青】
イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます『シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)@毎日靴ブログ』。著書『予約の取れないシューフィッターが教える正しい靴の選びかた』
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