体調不良のため将棋の女流王位戦を辞退した西山朋佳女流三冠=白玲、女王、女流王将=が2日、第52期ユニバーサル杯女流名人戦(主催=報知新聞社、日本将棋連盟、特別協賛=(株)ユニバーサルエンターテインメント)の女流名人リーグで復帰したが、ここまで対局成績6戦6勝だった大島綾華女流二段に138手で初黒星を喫した。

 本来は西山の本拠地である東京・渋谷区の将棋会館で指される予定だったが、西山の申し入れを大島も合意して、会場が大阪・高槻市の関西将棋会館に変更された。

 先手の西山は三間飛車を選択。午前中は2度の角交換を行い、互角の勝負となった。午後は大島が優勢となったが、93手目の▲6一角打ちで攻めに転じると、大島が持ち時間の2時間を使い切って1分将棋へ。最終盤は一進一退の攻防となったが、最後は大島に押し切られた。

 やはり西山は万全ではなかった。顔色は優れず、午前9時20分の会館入りも、非常にゆっくりした歩調だった。医師の診断書を携え、規定により「いす対局」となり、洋室で盤上に視線を注いだ。大島も「少し体調が悪そうではありました」と振り返ったように、投了後もほとんど感想戦は行わず、体調を考慮されて取材も行われなかった。

 対西山で7戦目にして初勝利を挙げ、今期女流名人リーグ初戦を幸先良く白星で飾った大島は「去年より1勝でも多く勝てるように頑張りたい」と昨期の4勝5敗から、まずは勝ち越しを目指すと意気込みを示した。

 西山は挑戦者として福間香奈女流王位=清麗、女流王座、女流名人、倉敷藤花=と対局予定だった、第36期女流王位戦五番勝負(第1局=4月24日)の出場を辞退する旨を同22日、連盟に申告。代わって伊藤沙恵女流四段が出場した。同28日に行われる予定だった清麗戦本戦1回戦も欠場し、不戦敗となっていた。

 また西山は、同23日に自身のX(旧ツイッター)を更新。「早急な手術および入院が必要となりました」と説明していた。そして「少しの間休みましたら再び盤上に戻ってまいります。今後ともどうか温かく見守っていただけましたら幸いです」と強調した通り、22日の辞退から10日後の復帰となった。

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