「鬼無里(きなさ)まり」名義でシャンソン歌手として活動する、元女優で花創作家の志穂美悦子さん(69)が4日、都内で初ソロライブ「『ChansoniX』~Un1~」を開催した。
親交の深い湯川れい子氏(89)に背中を押され、シャンソンの世界に。
本格始動から1年、現在は自家用車を運転する際や、ペットを散歩する際に歌うなど、日常生活にシャンソンが欠かせなくなった。鬼無里は「元々挑戦することが好き。挑戦する日々が(私の人生を)キラキラと輝かせている。緊張も不安もあるけど、私の場合はかえって刺激になる。歌が原動力になっているし、最高の一年を過ごさせていただきました」と充実感でいっぱい。「ワンマン(ライブ)は、いつかやりたい目標でした。すごくうれしいですね。新たな人生(が始まる)みたいな、『鬼無里まり』の新たな人生が出航する気がします」と話した。
日本初のアクション女優として数多くの映画やテレビで活躍したが、結婚を機に活動を休止。その後、花の世界に魅了され、花創作家として活動してきた。「全く同じではないですが、つながっている部分があるんです。花をやっていたから、ここ(=シャンソンの世界)に来られた。表現の方法がまた一個、増えた気がします」と手応えも感じつつある。
この日は、シックな黒のロングドレスなどに身を包み、情感たっぷりに歌い上げた。「愛と平和への願い」を込め、名曲「愛の讃歌(さんか)」や「生きる時代」「Piu Su」、ジャック・ブレルの「涙」など22曲を届けた。
夫の長渕剛(68)は「遠くから応援してくれている」という。「夫が歌を歌う人だから、30年以上、歌の影響を受けている。まさか自分が歌うとは思わなかったです。(将来的な)ジョイントコンサートですか? 望まないと思うわ、お互いにね」と笑った。
シャンソンが好きで22、3歳の頃、日本初のシャンソン喫茶「銀巴里」(東京・銀座)によく通っていた。
やるからにはその道を究め、「生ききる」のが鬼無里の流儀だ。「その道の人たちに『ウェルカム』と言ってもらわないといけない」。この先も本気で歌と向き合っていく。(加茂 伸太郎)
◆志穂美 悦子(しほみ・えつこ)1955年10月29日、岡山県生まれ。69歳。ジャパン・アクション・クラブから女優デビュー。主な映画は「二代目はクリスチャン」「男はつらいよ 幸福の青い鳥」、ドラマは「親子ゲーム」。芸名の「鬼無里」は長野市内にある地名でコロナ禍前に訪れた思い出深い場所のひとつ。「まり」はレギュラー出演した特撮番組「キカイダー01」の役名から。