◆NHKマイルC・G1追い切り(5月7日、栗東トレセン)

 第30回NHKマイルC・G1(11日、東京)の追い切りが7日、東西トレセンで行われた。

 思わず目を疑った。

アルテヴェローチェが栗東の坂路を駆け上がった後、モニターに映された時計は56秒0。遅い、いや遅すぎる。今まで須貝調教師に「やれば、いくらでも動く馬」と何度も聞いてきた。全休日明けはキャンターでも涼しい顔で60秒を切り、レース当週に坂路追いを行ったことは3度あるが、時計は51秒7、52秒3。前走のチャーチルダウンズCにいたっては50秒3だったのだ。

 しかし、須貝師は笑っていた。「あれぐらいでちょうどいい。落ち着いていただろう。いい感じだったよ」。もともと、54~55秒の指示。時計を出しすぎないようにという意図が伝わる。しかし、佐々木が手綱を無理に引っ張ることもなく、息をぴったりと合わせて、スムーズな身のこなし。

気持ちよさそうに駆け上がる姿が印象的だった。

 佐々木も「すごく雰囲気のいい状態で終われたかなと思います」と好感触。振り返れば、昨夏のデビュー時から須貝師は高い資質にほれ込んでいた。「ここ目標に2歳の当初からやってきた馬なんで、何とかね」。時計が遅い調教=成長の証し。強い思いが実る可能性がグンと現実味を増した気がした。(山本 武志)

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