相撲の全日本個人体重別選手権大会が11日に東京・靖国神社相撲場で行われる。3月の全国高校選抜大会の個人80キロ級で初優勝した西尾勇斗(飛龍3年)が男子ジュニアの部、軽量級(80キロ未満)に出場。

9月にタイ・バンコクで開催される世界ジュニアの出場権が懸かった大会で2つ目のタイトルを狙う。

 軽量級の高校横綱が、3月の全国選抜大会に続き、全日本体重別で2冠を目指す。西尾は「自分の相撲を取れれば、勝ちにつながると思う」と自信を持って土俵に上がる。

 春の選抜大会は圧倒的な強さで制した。県勢Vは大相撲で活躍する飛龍高の先輩・翠富士(28)=庵原一成、伊勢ケ浜=以来、11年ぶりの快挙。右四つでも、左四つでも相撲を取れるのが、西尾の最大の持ち味だ。「まわしを取れば、負けないと思った」と、うなずいた。

 大舞台の敗戦が、鋼のような体をつくる原動力となった。優勝を狙った昨夏の総体80キロ級で準決勝敗退。「思った以上に、悔しさが残った」。敗戦後は稽古のほか土俵外の練習で体をいじめ抜いた。階段ダッシュなど下半身の瞬発力を鍛え、腕立て伏せやウェートで筋肉隆々の体に仕上げた。

169センチと小柄だが、昭和の大横綱・千代の富士をほうふつとさせる体つきだ。

 同校から角界に関取を5人送り込んでいる栗原大介監督(48)は「高校時代の翠富士よりもスケールの大きい相撲を取る」と、評価。「まわしを取ったら本当に強い。大きい選手との対戦にまだまだ課題はあるけど、この階級(80キロ未満)では、一番強いのではないか」と実力を認める。

 今大会優勝者には世界ジュニアの出場権が与えられる。「世界で戦ってみたい。現段階では大相撲入りは考えていないけど、大学でも相撲は続けたい」。V候補の筆頭が、靖国神社の土俵で実力を見せつける。(塩沢 武士)

 ◆西尾 勇斗(にしお・ゆうと)2007年10月1日、福岡県八女市生まれ。17歳。小3の時に相撲を始め、福島中から飛龍高に進学。家族は両親と姉、兄。

169センチ、85キロ。

 〇…シニア女子の部の軽量級(65キロ未満)に岸本はな(飛龍高3年)が出場する。昨年ポーランドで行われた世界ジュニアの中量級で優勝した女王が、今回は一般のシニアのカテゴリーで戦う。先月18日に堺で行われた国際女子相撲選抜大会の65キロ未満級を制し、無差別級では準Vに輝いた実力者。「ほとんどの大会はシニアと争うので、あまり気にならない」。“世界連覇”へまずは、日本の頂点を目指す。

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