◆第30回NHKマイルC・G1(5月11日、東京競馬場・芝1600メートル)

 第30回NHKマイルC・G1(11日、東京)の出走馬18頭が8日、確定した。枠順は9日に決まる。

 兄弟タッグでビッグタイトルを目指す。ヤンキーバローズを担当する上村典久助手(53)は、同馬を管理する上村洋行調教師(51)の頼れるお兄さんだ。角居勝彦厩舎の解散に伴い、21年3月に上村厩舎へ移籍。チームワークを高めることに尽力してきた。

 その取り組みの一つが所属馬全頭のデータが細かく記されたファイルの作成だ。担当者が情報を一頭ごとの紙に書き込み、長期出張などで他のスタッフが手がけることになっても、癖などがひと目で分かるようにした。典久さんは「システムを変えました。仕事もみんなでやって早く終わるようにね」と語る。

 上村厩舎は19年の開業から毎年勝ち星を増やし、昨年は43勝で全国リーディング7位に躍進。典久さんは間違いなく立役者の一人だが、「みんなが同じベクトルで、ひとつでも多く勝とうとやってる結果ですよ」と穏やかに話す。10日のエプソムCに出走するデビットバローズなどオープンを勝った馬も手がけてきたが、上村厩舎での重賞VはヤンキーバローズのファルコンSが初めてだった。

 前走時の1週前追い切りは単走だったが、今回は併せ馬を消化。

「突つかれて我慢できるかというテーマでした。進歩はしています。マイルをこなすスタミナはあるし、今回はメンコ(覆面)も着けます」と策を練る。「完成は先だけど、能力はホンマに高いです」。兄弟で初めて挑むG1で、最高の結果をつかみ取る。(玉木 宏征)

 ◆上村 典久(うえむら・のりひさ)1972年2月2日、滋賀県出身。53歳。父が厩務員で栗東で生まれ、28歳でトレセンに入る。坪憲章厩舎、藤原英昭厩舎、角居勝彦厩舎を経て21年3月から上村洋行厩舎所属。03年ニュージーランドTのエイシンツルギザンで担当馬の重賞初V。エイジアンウインズ、シャケトラ、ヴァンキッシュランなども手がけた。上村調教師とは2歳違いの2人兄弟。

上村師の騎手時代も含めると3厩舎で一緒に働いてきた。

編集部おすすめ