バレーボールの大同生命SVリーグの年間表彰式が8日、都内で開かれ、男子で初代王者に輝いたサントリーの高橋藍(23)がアウトサイドヒッター部門の「ベスト6」、「ベストレシーブ」、リーグの発展に貢献した「特別表彰」に選出。「チャンピオンシップMVP」と合わせて個人4冠を獲得し、名実ともに“リーグの顔”となった。

男子で名古屋のニミル・アブデルアジズ(33)、女子は大阪Mの林琴奈(25)が、シーズンMVPを受賞した。

 サントリーカラーの赤のネクタイを締めた藍の笑顔が輝いた。初代王者を決めた愛知とのCS決勝から中2日。グレーのスーツに身を包んだ表彰式で個人4冠を獲得した。多くのカメラのフラッシュにまぶしそうな藍は「非常に苦しんだシーズンだったが、成長につながった」と胸を張った。

 昨季は、世界最高峰リーグのイタリア1部でプレーオフ準優勝。今季の国内リーグ初参戦は23歳の新たな挑戦だった。左足首違和感を抱えながらも、リーグ初代王者と全日本選手権の2冠獲得に貢献。高さやパワーはないが、世界屈指の組織的な守備を誇るSVリーグ。「守備とプレーの精度は世界トップレベル」と難しさを痛感した。昨季以上にスパイクはコースを細かく打ち分け、試合後は必ず映像でデータを確認し「攻撃のバリエーションは増えた」と“うまさ”を磨き、攻守の要としてさらに成長した。

 「唯一無二の選手」を掲げ、コート外でも先頭に立ち続けた。

国内で野球、サッカーが人気を博す中、「バレーも面白さでは負けていない」。開幕前からメディア露出を増やし、今年1月には大阪・関西万博のスペシャルサポーターにアスリートで初就任。兄・塁(25)と海外のファンも購入できるグッズを考案し、ファンの新規開拓も進めた。サントリーのファンクラブの会員数は昨季の10倍以上。ホームの観客動員数は10万人超えと、“リーグの顔”は「バレーを知ってもらえるきっかけになれていたら」とうなずく。レギュラーシーズン44試合の多さや特定のカードの偏りなど不均衡さに課題が残ったリーグ初年度。来季もサントリーに残留する藍は「選手の意見を言える機会がもっとあったら」と、2季目に向けた改善点も指摘した。

 次なる目標は「世界一」だ。12月の世界クラブ選手権の切符を懸け、アジア・チャンピオンズリーグ(11日開幕、京都ほか)に挑む。「高みを目指してやっていく」と藍。国内でつかんだ自信を胸にオンリーワンプレーヤーの挑戦は、世界舞台へと続く。(宮下 京香)

 ◆積極発信で貢献 西田が特別表彰 〇…西田有志(25)=大阪B=は積極的な発信でリーグの認知度向上に貢献したとして、藍とともに特別表彰を受賞した。

ちょうネクタイ、元女子日本代表で妻の古賀紗理那さん(28)から誕生日プレゼントでもらった腕時計を身につけ、「うれしい」と喜びを語った。SNSで選手会の設立を提言したことについても触れ、「選手の意見を伝える機会はつくりたいと思って動いている。選手とリーグで一緒にいいものをつくり上げたい」と話した。

 ◆森保監督&内田氏 サプライズ登壇 〇…サッカー日本代表の森保一監督(56)、元日本代表の内田篤人氏(37)がサプライズで登壇した。森保監督はレギュラーシーズンの優勝ヘッドコーチ賞を受賞した大阪Bのロラン・ティリ氏(61)、大阪Mの酒井大祐氏(43)にトロフィーを贈呈。特別表彰のプレゼンターを務めた内田氏は「1季目で苦労もあったと思うが、世界最高峰のリーグに近づく技術を感じた」と語った。

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