大相撲夏場所(東京・両国国技館)は、11日に初日を迎える。政界の好角家として知られる国民民主党・榛葉(しんば)賀津也幹事長(58)がスポーツ報知の取材に応じ、幼少時代に熱狂した取組を思い返しながら郷土愛、礼節を重んじる相撲道の魅力を語った。

綱取りに挑む大関・大の里(24)=二所ノ関=に注目が集まる初夏の土俵が待ちきれない。(取材・構成=大西 健太、林 直史)

 SNSの積極的な発信などで注目を集める国民民主党・榛葉幹事長は、東京開催では毎場所、両国国技館に足を運ぶ。夏場所の主役は、先場所3度目の優勝を果たした大の里。17年初場所後の師匠・二所ノ関親方(元・稀勢の里)以来となる日本出身横綱の誕生なるか。

 「大の里はいいんじゃない? 気は優しくて力持ちっていうね。日本人横綱は欲しい。尊富士も昨年春場所で新入幕優勝をした。大の里が綱取りで、いい勝負になるのでは。横綱(豊昇龍)も帰ってくるし、見応えがあるよね」

 幼少期から大相撲に魅了されてきた。中でも、端正なマスクで「角界のプリンス」と呼ばれ、驚異的な土俵際での粘りが魅力だった初代・貴ノ花(元大関)に夢中になったという。

 「昔は学校に土俵があって、よく同級生や上級生と相撲を取っていた。私は体が小さかったけれど負けたことがなかった。

私の頃は輪島、北の湖、貴ノ花の時代【注】。貴ノ花は必ず(午後)5時37分ぐらいに出るんだよ。時計の7の数字に長針がかかって、カタカナの『カ』のようになる。その頃からずっとファンだった。貴ノ花の相撲は今見ても面白い」

 大相撲はコロナ禍により、20年春場所で無観客開催も経験。苦難を乗り越えて、昨年は年6場所の全日程で札止め。「若貴ブーム」に後押しされた96年以来、28年ぶりだった。再び相撲人気に火が付きつつある。

 「女性人気も増えている。若い子も見ている。相撲最高だよね。お客さんがいることのありがたさを感じる。

(力士は)マゲを結っている唯一の日本人だからね。今は武士につながる、連想するものが減ってきている。武士(もののふ)的なものを感じさせる。力士が『武士道精神、勝ち負けだけではない、負けてよし勝ってよし、礼に始まり礼に終わる』ことを子どもたちに教えてくれている」

 榛葉幹事長は静岡県出身。地元それぞれで力士を応援し、盛り上がることができるのも、大相撲の魅力だ。

 「好きな力士は翠(みどり)富士と熱海富士。やんちゃっぷりがいい。1回、『みどり!』と叫んだら目が合った。日本人が忘れていた地元への愛情がいいよねえ。(モンゴル出身の)玉鷲も相撲が楽しくて仕方ないと言うんだから。芯が太いし骨太だしね。日本出身でなくても日本の心を持っている力士は多い」

 白熱の国技館を心待ちにした。

 【注】横綱の第54代・輪島と第55代・北の湖が活躍した1970年代は「輪湖(りんこ)時代」と呼ばれ、相撲ブームをけん引した。初代・貴ノ花は183センチ、114キロと軽量ながら大関まで昇進。

 ◆榛葉 賀津也(しんば・かづや) 1967年4月25日、静岡・菊川市生まれ。58歳。掛川西高を経て、米オハイオ州オタバイン大学国際問題研究学部卒。イスラエル国立ヘブライ大学大学院国際政治学部留学。2001年7月に参議院議員選挙に当選。09年9月に防衛副大臣に任命。20年9月に国民民主党幹事長に就任。趣味はラーメン店探訪。家族は妻と1男2女。

 ◆取材後記 ヤギの話題を話す姿に親しみやすさ

 インタビューは永田町の参議院議員会館で行った。

普段のスポーツ取材の現場とは違った空気にやや身構えたが、熱のこもった言葉とユーモアを交えた受け答えに、「聞きやすさ」を感じた。

 大相撲だけでなく、気になっていた自宅で飼育するヤギについても聞いてみた。榛葉幹事長は約8年前に畑の草刈りに手を焼き「ケビン」を飼い始めた。テレビで“ヤギのおじさん”と紹介された。「草取りが嫌で飼ったのに、俺が草刈って餌をやってる。意味ないじゃん(笑)。でも飼ったらかわいくて。ケビンが来てから、どんどん福が舞い込んでくるの」。今では5頭に増えたファミリーの話題をうれしそうに話す姿に、親しみやすさの一端を感じた。(大相撲担当キャップ・林 直史)

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