B2参入2年目は西地区3位(34勝26敗)で昨年より勝ち星を5つ増やしたベルテックス静岡だったが、勝たなければならなかった上位陣に対しては劣勢が続いた。特に、東西1位の2チーム、A千葉と福岡には全敗を喫した。

検証の後半は、新指揮官の森高大ヘッドコーチ(35)の誤算に迫った。

 度重なる負傷者が森ヘッドのチームづくりを狂わせた。昨季は出なかった長期離脱者が今季は相次いだ。就任1年目で「超攻撃的ディフェンス」を旗印に掲げ、組織的なチームづくりに着手していたが、リーグ開幕直後にアクシデントが襲った。

 一番の誤算は大黒柱PFフィン・ディレイニー(29)の負傷だ。第3節の鹿児島との第1戦(24年10月19日)の試合中に右足内転筋肉離れで故障者リスト入り。7月上旬から新チームが始動し、開幕前から攻守の要として戦術の中心に据えていた外国籍選手のアクシデントで、実戦でチームを成熟する期間が遅れた。

 リーグ戦序盤で戦いながらチームの骨格をつくる手はずが、一番大きな柱を欠いた。全60試合の約1/4に当たる14試合に欠場。PFジョナサン・ウイリアムス(29)を短期契約で獲得して代役に充てたが、その間は6勝8敗と負け越し。リーグ終盤戦にもエースは負傷し、富山とのプレーオフ準々決勝は万全な状態ではなかった。

 ディレイニーが復帰した直後の昨年12月には一時、3点シュート成功率4割超えだったSG新川敬大(30)が右手第三中手骨骨折で約2か月離脱。

1月には成長株の控えPG鍋田隆征(23)が左アキレス腱(けん)断裂で今季絶望となった。シーズン途中に特別指定選手のPG山本愛哉(21)=神奈川大4年=が加入し、終盤に緊急補強した元日本代表PG橋本竜馬(36)が鍋田の穴を埋めたが、けがの影響で開幕メンバー全員がそろったのは、わずか4試合。東西地区を制したA千葉、福岡には未勝利で、B2トップクラスを撃破するまでのチーム力をつけることはできなった。

 2026―27年シーズンから現行のB1はBプレミアリーグに移行する。ベルテがプレミアに参入するには、順調なら30―31年シーズンに開業する新アリーナの完成を待つ必要があり、29―30年シーズンまでは新たな下部リーグに参戦するしかない。発足1年目のプレミアを目指す選手は来季B1でプレーを望むことが予想され、編成にも影響が出そうだ。今後のチームのかじ取りに注目が集まる。

(塩沢 武士)

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