「Jリーグ・日本財団 サステナビリティ領域における連携協定」の締結式及び発表記者会見が9日、都内で行われた。Jリーグの野々村芳和チェアマン、日本財団の笹川順平専務理事らが出席。
気候変動によるスポーツへの影響は絶大で、近年はサッカーを含む日本のスポーツ環境にも大きな影を落としている。パネルディスカッションには、Jリーグ特任理事の元日本代表MF中村憲剛氏、ラグビー元日本代表の五郎丸歩氏、スキージャンプの高梨沙羅氏が登壇。Jリーグでは夏場にはパフォーマンスが落ちる、というデータがあり、26―27年シーズンより現在の春秋制から秋春制への移行が決定。中村氏は「自分が若いころと比べても、プレーに支障が出ている。ある意味、選手たちは命を削っている」と夏場にプレーする危険性を語った。さらに影響を受けているのが子供たちで、暑熱下の人工芝で裸足となった際に足の裏をやけどして皮がめくれ、試合への出場が不可能になった事例なども挙がっている。
スキージャンプでは雪の減少でトレーニング環境が整わない、といった現象もあり、高梨氏は「危機感を感じる。雪に育てられた、といっても過言ではない、スキージャンプをやってきた人生。次世代の子供たちに残していきたい」と話した。また五郎丸氏は「一番影響を受けるのは子供たち。子供たちが(暑熱下で体調面などに)影響を受けると、親がスポーツをさせないなど、選択肢の中に入っていかない」と危機感を募らせた。
Jリーグが行う活動のひとつとしては「Sports Positive Leagues」(スポーツポジティブリーグ=SPL)への参画が挙げられた。これは英プレミアリーグなど欧州各国リーグでも行われている施策。CO2の排出量管理など、気候変動対策に重要な12項目をについて、各クラブでの取り組みを可視化する。順位付けすることで、各クラブの取り組みを活性化させていくという狙いがある。Jリーグの野々村チェアマンは「気候変動を食い止めるために、ぼくらに何ができるか。一歩二歩でも、半歩ぐらいでも先にいけるように」と語り、日本財団との連携を生かして課題に取り組む考えを示した。