大相撲夏場所(東京・両国国技館)は11日に初日を迎える。飛躍が期待される若手力士特集の第2回は、スケール感あふれる四つ相撲が魅力の十両・欧勝海(23)=鳴戸=を紹介する。
欧勝海は石川・津幡町の出身。同郷には1学年上の大関・大の里(二所ノ関)がおり、ともに幼い頃から地元の相撲道場に通った。高校は大の里の誘いで新潟・海洋高に進学。2学年上には幕内・嘉陽(中村)、十両・白熊(二所ノ関)もおり、将来の関取衆と切磋琢磨(せっさたくま)してきた。角界入り後は先輩たちが一足先に幕内で活躍。「早く追いつきたい」と対抗心を燃やす。
欧勝海の一番の魅力は力強く相手を土俵外まで寄り切る四つ相撲。相撲を始めたばかりの頃は、かまして押すというスタイルだったというが「かますと痛い。たんこぶができた時に『それぐらいで相撲を取れないと言うな』と言われるのが嫌だった。だからレパートリーを増やそうと、一時期は突きもやったが、手と肩が痛くなる。背筋が強い方なので、四つ相撲がいいと思った。相撲に安定感も出てきた」と原点を明かした。
直近5場所で休場が3度と、けがに悩まされる。184センチ、150キロと決して大柄ではなく「無理して相撲を取っているので、けがが多い」と、力勝負の四つはけがのリスクと隣り合わせ。それでも「もっと体の負担を減らせるような相撲を取りたい。食べることもトレーニングだと思って、体重を増やそうとしている。立ち合いの当たった流れで、相撲を取れるのが一番の理想」。自慢の四つ相撲にさらに磨きをかけ、新入幕へつなげる。(大西 健太)
◆欧勝海 成矢(おうしょううみ・せいや)本名・深沢成矢。2001年5月12日、石川・津幡町生まれ。23歳。小学1年時から相撲を始め、新潟・海洋高を経て鳴戸部屋に入門。20年春場所で初土俵。24年初場所で新十両昇進。