J2ジュビロ磐田と藤枝MYFCが11日、ヤマハスタジアムで対戦する。両クラブのカラーから「蒼藤(そうとう)決戦」と名付けられた今季リーグ戦初の県勢対決で、23年の対戦では磐田が2勝している。
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磐田は9日、ヤマハ大久保グラウンドで一部非公開練習。居残りでシュートを繰り返した渡辺は「どれだけ攻守に走れるかがカギになる。ランニングの回数や質を上げていく」と前線でのフル回転を宣言した。
悪い流れを断ち切った。足の負傷もあって途中出場が多かったが、3日の今治戦で今季初めて先発すると、3連敗していたチームが息を吹き返した。前線からのプレスがハマって攻撃陣が3得点。自身もゴールを挙げた。
リードを守れず3―3のドローに終わったものの、6日の札幌戦は4―2で勝利。ボールを追って前線で走り続ける渡辺の献身的なプレーが生きた。6戦ぶり白星にジョン・ハッチンソン監督(45)も「やっとコーナーを回った(底を抜け出した)かな」と目を細めた。
22年夏にJ3沼津から藤枝(当時J3)へ移籍し、約1年間プレー。
藤枝では23年に26試合出場13得点とブレイクし、同年夏にJ1C大阪へステップアップを果たした。須藤監督には「点を取る姿勢、走り続けることを学びました」と感謝する。恩返しのチャンスに「藤枝を離れてから磨いてきた武器を試合の中で発揮したい」と闘志をのぞかせた。2連勝してJ1昇格へ弾みをつける。(里見 祐司)
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藤枝・金子にとって、磐田は21年夏から3年半在籍した古巣だ。J1昇格とJ2降格も2回ずつ経験。苦楽をともにした仲間がたくさんいる。
会場のヤマハスタジアムはピッチとスタンドが近く、サポーターの声援もダイレクトに聞こえる。「気持ちが勝手に入るんです。大好きだった」。23年7月の同会場での藤枝戦では2得点と大暴れ。自ら獲得したPKを沈めると、2―1の後半3分には相手GKのクリアをカットして決めた。「成長した姿を磐田のサポーターに見せたい。金子っていい選手だな、と思わせたい」と燃えている。
ゴール前での決定力を欠き、チームは2連敗中。だがボールを保持し、攻撃の形をつくって優位に攻め込んではいる。「やり方は間違っていない」と須藤大輔監督(48)。伝統も実績もある磐田を倒せば波に乗れるはずだ。
ハイプレスの先頭に立つ金子も「お互いに重要な試合になる。勝った方に勢いがつく」と位置づけた。「蹴球都市」を名乗る藤枝のプライドもある。磐田の強みと弱点をチームの分析担当に伝え、攻略法を一緒に考えている。「ゴールを取ることで恩返ししたい」。背番号50が全身全霊を込めて、白星を取りにいく。(里見 祐司)