大相撲夏場所は11日に東京・両国国技館で初日を迎える。綱取りに挑む大関・大の里(24)=二所ノ関=は10日、国技館で優勝額贈呈式に出席。

自身3つ目の優勝額には、原点といえる母校の新潟・海洋高から贈られた化粧まわしをつけて納まった。年6場所制となった1958年以降では初めてとなる初土俵から全場所勝ち越しで昇進を目指す。

 熱い気持ちがこみ上げた。大の里は3月春場所の優勝力士として国技館に掲額された写真に、初めて大いちょう姿、母校・海洋高(新潟)の校章が描かれた青い化粧まわしを着用して納まった。「過去2回(の優勝額)とは違う姿。3枚目は何が良いか考えた。今の自分があるのは新潟のおかげだと思っている。土台をつくってくれた。その思いを大事にして選んだ」。糸魚川市から上京した恩師で、同高の田海哲也総監督(64)と額の前でがっちり手を握った。

 新潟県相撲連盟によると、これまで同県の高校出身で横綱はいないという。大の里は出身の石川はもちろん、中学、高校の6年間を過ごした新潟への思いも強く持っている。

「お金を募って、地域の方々が集めてくれた。この化粧まわしで優勝額を撮れたのは良かった」と感謝し、綱取りへ向けては「深く考えることなく、いつも通り頑張っていきたい」と自然体を強調した。

 協会の諮問機関、横綱審議委員会の推薦内規には「2場所連続優勝か、それに準ずる好成績」とある。2023年夏場所に幕下10枚目格付け出しで初土俵を踏み、12場所で勝ち越しを続けている。初土俵から全場所勝ち越しで横綱に昇進すれば、年6場所制となった1958年以降では初。スピード出世に関心が集まる中、その過程も価値が高い。今場所で昇進となれば、偉業もついてくる。

 初日は先場所敗れている幕内・若元春(31)=荒汐=と難敵だが、「初日の入りが大事。前半戦が大事なので、しっかり気持ちを整えたい」と足元を見つめる。初日は、田海総監督も観戦予定。大相撲の歴史を変える昇進へ、白星で踏み出す。(山田 豊)

 〇…新潟・海洋高の化粧まわし姿で写った優勝額に田海総監督は感慨深げだった。

「新潟のみんなが喜んでくれる。夢見心地だ」としみじみ。石川から訪れた父・中村知幸さん(49)も「田海総監督は『新潟の父』。恩返し出来たかな」と喜んでいた。

 ◇大の里の優勝額の化粧まわし 昨年夏場所の優勝額の青い化粧まわしは、新十両昇進時、二所ノ関部屋とパートナーシップを結ぶ住宅メーカー・アイ工務店から贈られたものを着用。同秋場所の優勝額は地元の石川・津幡町からのものを選んだ。化粧まわしの所持数は、10本ほど。

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