◆プロボクシング ▽WBA世界スーパーフライ級(52・1キロ以下)タイトルマッチ12回戦 〇王者・フェルナンド・マルティネス (判定) 同級6位・井岡一翔●(5月11日、東京・大田区総合体育館)

 WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチは、同級王者フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)が挑戦者の同級6位・井岡一翔(志成)に判定勝ち。初防衛に成功した。

 戦績は、33歳のマルティネスが18戦全勝(9KO)、36歳の井岡が31勝(16KO)4敗1分け。

 序盤から手数に勝ったマルティネスは、10回に井岡の左ダウンを奪われたものの、114―113、115―112、117―110と最大7ポイント差をつけて3―0の判定勝ちを収めた。「皆さんに満足していただけたと思う。全てをリングに出した。井岡選手も全てを出したと思う。本物の戦争をお見せできた」。故郷アルゼンチンでは、ボカ地区の名誉地区民に認められ、1か月ほど前に地元で壁画の除幕式が行われるほどの英雄はリング上で喜びを表した。

 昨年12月31日、井岡とのダイレクトリマッチによる初防衛戦が予定されたが、来日後にインフルエンザに感染して試合が中止になった。今年になってWBC王者ジェシー・ロドリゲス(米国/帝拳)との統一戦プランが浮上したが、マルティネスは井岡との対戦だけを考えて練習してきたという。来日時にはマスクを着用し、手指消毒を徹底したりと感染症対策には細心の注意を払った。来日後も練習以外は外出はしなかったという。

 「井岡選手は前回に比べて大変練習を積んできたと思う。

私にプレッシャーを与えた。私も良い練習を積んだ。本当に強い2人がリング上で力を出した」とマルティネス。首の右側には漢字で「家族」とタトゥーが刻まれている。昨年7月、井岡に判定勝ちしてIBF、WBA統一王者となった夜に彫ってもらったもの。「日本に来て試合をしたから何か日本のものを持ち帰りたかった。家族は自分にとって一番大事なもので、神から授かったものだ」という。「今回勝てば『フェニックス(不死鳥)』のタトゥーを彫りたい」と話していた。

 「私の夢は全てのタイトルを同時に持つこと」というマルティネスは、WBC王者ジェシー・ロドリゲス(米国/帝拳)とWBO王者ブメレレ・カフ(南アフリカ)の勝者との統一戦を目指す。「バム(ロドリゲス)がおそらく勝つだろう。統一戦をやりたい。今年中に実現させたい」と意欲を見せていた。

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