◆明治安田J1リーグ▽第16節 鹿島2―1川崎(11日・国立)
7試合が行われ、鹿島は川崎に2―1で逆転勝ちし、2020年以来、5季ぶりの6連勝で首位を守った。昨季まで川崎を8年間率い、7つの主要タイトルを獲得した鬼木達監督(51)は、古巣との初対戦を勝利で飾った。
国立決戦の軍配は「鬼木アントラーズ」に上がった。5万9574人が集結した一戦を制し、鹿島・鬼木監督は喜びをかみしめた。「いろいろな思いはあるが、変な感情になることなく選手たちと目の前の相手を倒すことに集中できた」。監督として通算7冠をもたらした古巣との初対戦で、鮮やかな逆転勝利を飾った。
鹿島の例年以上の好調ぶりや“鬼木対川崎”の構図も客足に反映され、国立の観客は超満員。加えて川崎には通算成績11勝23敗8分けで唯一負け越しており、対決は盛り上がった。
その難敵に、開始7分で失点。会場はため息に包まれた。しかし、鬼木イズムが浸透する鹿島の選手たちは下を向かなかった。
現地視察した元日本代表監督のジーコ・クラブアドバイザー(72)は、当時10代だった鬼木氏と93~94年途中まで鹿島で同僚だった。世界的レジェンドは、鬼木監督が川崎を率いていた時代から、監督として鹿島に戻ってくることを熱望していたという。
「試合に出られなくても、一生懸命練習する選手だった。あの時の学びが監督キャリアに生きているはずだ。強かった鹿島を知る人が監督になってくれてうれしい。彼のプロフェッショナルな姿勢は本当に素晴らしい」
1月の始動からしばらくは「鬼木さん」と選手に呼ばれていたが、今では全員が「鬼(おに)さん」と慕う。「ゴールを脅かす回数がまだ少ない。選手は努力してくれているので、自分が努力に応えないと」。特別な1勝となったが、26年ぶりに帰還した「鹿島の鬼さん」に慢心はなし。