前王者で挑戦者の井岡一翔(36)=志成=が、王者フェルナンド・マルティネス(33)=アルゼンチン=に0―3の判定で敗れた。井岡は10回に左フックのカウンターでダウンを奪ったが、昨年7月に敗れた宿敵に返り討ちにされた。
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【セレス小林の目】
私の採点は115―112でマルティネスだった。井岡は前半から中盤にかけてポイントを取られすぎた。相手のプレッシャーを弱めようとボディーブローを有効にヒットさせても、その直後にマルティネスは3発、4発と打ち返してくる。これではジャッジの採点は自然とマルティネスに傾くはずだ。
そして目についたのは王者のジャブのうまさだ。井岡も得意としているが、ジャブの差し合いでマルティネスは優位に立ち、攻撃のリズムを作っていた。王者が前に出続けたのも、井岡に体のパワーがないと分かっていたからだろう。ジャッジの採点の流れは、試合の前半で決まってしまったと思う。
井岡は不利な状況の中、10回に起死回生のダウンを奪い、王者のダメージの大きさは見て取れた。倒せる可能性があっただけに、11回はもっと勝負をかけて攻撃して欲しかった。
デビューは2009年でプロ17年目。36歳となり年齢的な衰えは否定できない。昔の井岡を知っているだけに、パンチの切れもなかった。今後に関しては本人が決めることだが、これだけ長く世界のトップで活躍し続けたことを考えれば、ダメージの蓄積もあるだろう。(元WBA世界スーパーフライ級王者)