FMW、新日本プロレスなどで活躍し“インディーの帝王”とたたえられたサブゥーさん(本名・テリー・ブルンク)が60歳で亡くなった。世界最大のプロレス団体「WWE」が11日(日本時間12日)、公式ホームページで伝えた。

 サブゥーさんと2月に英マンチェスターでのサイン会で再会した九州プロレスのTAJIRIはスポーツ報知の取材に応じ、サブゥーさんとの秘話を明かした。

 TAJIRIは、サブゥーさんと大日本プロレス時代にマスクマン「アクエリアス」として2度対戦。その後、98年から米国の「ECW」へ移籍しサブゥーさんと同じリングに上がった。当時の印象をこう明かした

 「スタイル的なことはわからないんですけど周りにいる人間にレスラーの生き様を与える人だった。当時はかなり難しい人で僕も苦手でした。だけど、プロは関係ない。いかに金を稼ぐかが大事なんだ…本人はそんなことを言葉にしないし、そんなことを毛頭思っていないと思うんです。だけど、そんなメッセージを無言のうちに教えてくれる強烈なオーラがありました。これまで幾多のレスラーと出会ってきましたが、そんなレスラーはサブゥー以外にいませんでした」

 TAJIRIは、ECWから2001年にWWEへ移籍し世界最大の団体でトップとして活躍した。こうした自らのプロレス人生とサブゥーさんを重ね合わせた。

 「知り合って誇れる人って人生の中でいると思うんです。サブゥーはそんな1人でした。

彼と親しくできたことは、自分にとってすごく誇れることです。振り返ると、僕が成長していくにつれサブゥーとの距離が近くなったと思います。そう思うとサブゥーは僕を認めてくれていたのかなと思います。それは僕の人生で誇れることです」

 ここ数年は、米国での試合などで会う機会が多かったという。最後となった2月のマンチェスターでの思い出を明かした。

 「数年前は不健康そうだったんですが最近は、肌つやもよくて健康で元気だった。その時は目の前で起きたことを淡々と話していました。昔の感じはなくなって何か解放されたように朗らかになっていたんです。だからずっと長生きすると思っていました」

 そしてこう続けた。

 「ただ、亡くなったことを思うと幸せな人生を過ごした人は最後、朗らかになるのかなと思う。そういう意味でサブゥーは幸せだったと思います。最近は西村(修)さんもお亡くなりになって、お世話になり親しい方との別れが続いています。

近い方の訃報に接すると、死はその辺りにうろついていることを教えてくれます。だからこそ、生きている限りは一日を張り裂けるほどに楽しく生きまくるしかない、と思います」

 (福留 崇広)

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