◆大相撲夏場所2日目(12日、東京・両国国技館)

 先場所途中休場の横綱・豊昇龍が東前頭筆頭・若元春を寄り倒し、初日から2連勝とした。好角家で知られ、豊昇龍を支援する美容整形外科「高須クリニック」の高須克弥院長(80)が横綱昇進後、初めて観戦する前で強さを見せた。

綱取りの大関・大の里は小結・高安をはたき込んで2連勝。大関・琴桜は初白星。西前頭筆頭・王鵬は関脇・霧島を突き出して連勝した。

 豊昇龍が気迫を前面に連勝スタートを切った。立ち合いで鋭い出足からもろ差しになると、若元春に上手を取られたがすぐに切り、土俵際で一気に圧力をかけて寄り倒した。「最初からもろ差しを狙った。集中してやれた。しっかり自分の形になったので、最後までその通りに攻めた」。先場所途中休場の原因となった右肘痛の影響を感じさせない勝ちっぷりに、充実した表情を見せた。

 最前列には高須院長が観戦していた。叔父で元横綱・朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏(44)の仲介で19年頃から支援を受け、春場所前には製作費1000万円弱の三つぞろいの豪華な化粧まわしを贈られた。「来てましたね。

気合が入りすぎるとダメなのでいつも通り集中した」。自然体を強調したが、金の龍の字をデザインした化粧まわしで堂々の土俵入りと1勝を届けた。

 横綱昇進後、2場所目で初観戦となった高須氏も感激しきりだった。懸賞を5本懸け、取組前に「イエス!イエス!高須クリニック」と5度連呼されて館内が沸く中での白星。「懸賞をたくさん懸けたから、ハラハラしました。泣きそうです。あのスピードが彼の持ち味ですよ」と興奮気味に拍手を送った。

 豊昇龍とは、横綱として初めての優勝額を譲り受ける約束をしているという。優勝額は高さ3・17メートル、幅2・26メートル、重さ約60キロ。サイズがネックだが、高須氏は「家の宝になる。玄関を壊して入れますよ」と受け入れ体制を整えて待つ。3日目は王鵬の挑戦を受ける豊昇龍は「ちゃんと稽古してきたからね。

明日からまた、しっかり集中していきたい」。横綱初Vで“規格外”の恩返しを果たす。(林 直史)

 ◆優勝額 大きさは縦3・17メートル、横2・265メートル、重さ60キロ。各場所ごとの優勝力士が化粧まわし姿で描かれ、両国国技館の四方にそれぞれ8枚、計32枚が飾られる。東京開催の初日の前日に、直近2場所の贈呈式が行われ、初日に除幕式が行われる。豊昇龍は23年名古屋場所と、今年初場所の額が国技館内に飾られている。

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