◆イングランドFA杯決勝 クリスタルパレス1ー0マンチェスターC(17日、英ロンドン・ウェンブリー競技場)
サッカーのイングランド協会(FA)杯の決勝が17日、ロンドンのウェンブリー競技場で行われ、日本代表MF鎌田大地(28)がフル出場したクリスタルパレスが名門マンチェスターCを1―0で破り、1861年のクラブ設立以来、初となる主要タイトルを獲得した。鎌田は1871年から続く世界最古のカップ戦の決勝の舞台に日本人で初めて立ち、チームの歴史を動かす勝利に大きく貢献した。
快挙の中心に、日本人MFがいた。日本で言えば江戸時代にあたる1861年設立の古豪クラブが、初のタイトルを獲得した。フル出場した鎌田は晴れやかな表情で、サッカーの聖地ウェンブリー競技場で優勝カップを掲げた。「ファンの人に一生語り継がれると思う。関われたのは、すごく誇らしい」。加入1年目の28歳は勝利を誇った。
「サンドバッグ状態になったけど、カップ戦なので、勝てばなんでもいい」。前半16分の先制後は防戦一方。ボール支配率は2割程度にとどまり、圧倒的に試合を支配された。「内容自体はあまり褒められるものではない」と苦笑いを浮かべたが、昨季までリーグ4連覇を成し遂げた強豪相手に1点を守り抜く強さが、クリスタルパレスにはあった。
1点リードの前半にGKヘンダーソンがPKを止めた際に「これは(優勝)あるかな」と思ったという。後半には鋭いカバーリングから懸命にシュートをブロック。
今季は途中出場が続く時期も長かったが、シーズン終盤に先発に定着して歓喜を味わった。「最後の最後ではい上がってこられるのは、自分が他の人と違う部分」と胸を張った。試合後には自身のSNSに「キャリアの中で、最も難しいシーズンでした。でも?」と書き記した上で、歓喜に酔いしれる写真を複数枚投稿。泰然自若の姿勢を貫き、クラブの歴史にその名を刻んだ。
◆欧州5大リーグの国内杯戦優勝に貢献した日本人選手 カップ戦が2つあるイングランドでは、FA杯は鎌田が初制覇。カラバオ杯は21~22年季にリバプール(当時)のMF南野拓実が4得点で優勝の立役者に。ドイツ杯は奥寺康彦、香川真司、内田篤人、長谷部誠ら、イタリア杯は長友佑都が制した。フランス杯、スペインの国王杯は優勝者なし。今季は伊東純也らのSランスがフランス杯決勝(25日)に進出しており、パリSGと対戦する。
◆FA杯 1871年創設。
◆クリスタルパレス 1861年創設。ロンドン南部に本拠。2013~14年季以降はプレミアリーグ定着。今季12位。オーストリア出身のグラスナー監督は、21~23年にドイツ1部フランクフルトで鎌田、長谷部誠氏らを指導。歴代所属選手に元イングランド代表監督のDFサウスゲートら。