Jリーグは19日、各クラブが行う社会連携活動を表彰する「シャレン!アウォーズ」を都内で開催。「パブリック賞」に、J1広島が実施した「街なかスタジアム開業に伴う、横川商店街の逆襲」が輝いた。

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 昨年2月に新スタジアム「エディオンピースウィング広島」が開業。誰もが待ち望んだ「街なかスタジアム」の完成に市民は沸き、クラブは昨季、入場者数、売上高ともに過去最高を記録した。

 旧スタジアム時代、観客の約15%(約2500人)の輸送を担うシャトルバスの発着地だったJR横川駅は、新スタジアムまでも徒歩18分の好立地。しかし、広島市が作成した基本計画のアクセスルートから外されてしまった。

 市の基本計画が示したスタジアムへのアクセスでは、広島バスセンターや広島電鉄を中心とする南から大部分の80%。JR新白島駅の北から11%、アストラムライン「県庁前駅」を中心とする東から7%で、横川エリアを含む西方面はわずか2%だった。

 この試算の公開から、横川商店街がクラブと一体となって“逆襲”を開始。クラブ職員が旗の設置作業に汗を流して商店街をクラブカラーの紫に染めたほか、クラブ応援店を募り、ユニホーム着用による割引サービスなど、スタジアム来訪者をおもてなしするサービスを各店舗が実施した。シールラリー、スタンプラリー等も企画し、ナイター試合の帰路を見据えて夜間照明灯、路面の改修も実現させた。

 広島の久保雅義社長は「新スタジアム開業にともない、地域が抱える課題はそれぞれあり、サンフレッチェがどう向き合うかが非常に重要だった。利用者数が減少するという試算が出て、どうやったら活力が生み出せるかというところを、クラブとして考えた」と明かした。選考委員を務めた「よんなな会」事務局長の屋敷昌範氏は「ラブ&クレイジーな取り組みで、新スタジアムのあり方を考える各地への、非常に重要な学びになる」と高く評価した。

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 「シャレン!アウォーズ」は今回が6度目の開催。地域に根ざしたスポーツクラブとして、各クラブが多くの協働者と連携し、各地域が抱える課題への多種多様な社会連携活動をたたえる目的で行われている。

 今回は58クラブがエントリーし、6クラブがそれぞれの賞を受賞。Jリーグ特任理事の中村憲剛氏、明治安田の永島英器・取締役代表執行役社長らがプレゼンターを務めた。

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