ラグビー・リーグワン1部でレギュラーシーズン(RS)2位の埼玉は20日、熊谷市内でプレーオフ(PO)準決勝の東京ベイ戦(25日、秩父宮)に向けた練習を行った。フランカー/NO8の大西樹が取材に応じ「個人的な話ですけど、決勝に3回くらい出られなかったので。

勝って決勝に行くこと。それ以上のことは考えられない」と、秘める思いを語った。

 リーグワンでは3季連続で決勝に進む、初代王者の埼玉。大西は、一昨季は決勝メンバーに入りながら出場ならず。昨季は準決勝の横浜戦で脳しんとうによる途中交代で、決勝の舞台を逃すなど、苦汁をなめてきた。「チームとしても(2シーズン)優勝していないので。グラウンドに最後、自分が立っていられるように。準決勝にまず勝つこと。それが目標」。“3度目の正直”は、チームの3季ぶりVを見据える。

 長く大黒柱としてチームを支えてきたフッカー堀江翔太氏が、昨季を限りに引退。控えで出場すれば、ベンチで堀江氏の隣を陣取っていたのが大西だ。

同氏の何よりの特徴は、グラウンド上でのコミュニケーション。軸が抜けた今季、プロップ稲垣啓太が「樹が、よく声を出している」と言うように“ラスボス”の系譜を引く。「しゃべる人がいなくなって、しゃべろうとは思っています。いいお手本が隣にいたので。いない穴を埋めるというのが違うけど、できることはやろうと思って声を出しています」。チーム自慢の堅守は、グラウンド上のコミュニケーションあってこそ。「一番しゃべって、一番早くセットして、一番体を張って、というのは意識している」とチームマンは言う。

 「堀江さんの背中というか、プレー、見て学ばせてもらった」と大西。埼玉のFW陣は日本代表でも主力級が揃い、出場機会をつかむことも容易ではない。「(能力値の)五角形で見た時に、とんがろうと思っています」と、一瞬のスピードなど自身の持ち味を最大限発揮できるよう、研鑽を積んでいるという29歳。「1個、ミスをしたら終わりだというのは、何年も前から考えている。かつ、いいプレーをできるように。

自分に常に、ハッパをかけてやるようにしています」。積み重ねた先の一戦が、結果につながると信じている。

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