宝塚歌劇・花組時代にトップ娘役だった蘭乃はなは真飛聖、蘭寿とむ、明日海りおの相手役を務めた。2014年11月に卒業して約10年になる。

現在、舞台「家政夫のミタゾノ THE STAGE レ・ミゼラ風呂」(6月8日まで東京・EXシアター六本木の後、大阪など5か所で上演)に出演中。家族の崩壊と再生を描くTOKIO・松岡昌宏主演で知られるコメディドラマ(テレ朝系)のライブ版だ。蘭乃はシリアスな役どころ。「おなじみの方々の中に自分が入っていけるのか、最初は不安でした。でも演者同士、妥協のない本気のぶつかり合いが素晴らしくて。出演できて本当に良かったです」

 女優として今年、大きな転機になりそう。映画初主演作「TOKYO RED 鉛丹」(秋山純監督、23年)で見せたダイナミックなダンスシーン。「自分のやりたいことはこの辺りにあるのかな」と思い続けていた。10年間の結晶として、11月に得意分野にこだわったダンスコンサート「Precious」(猪熊佐恵子演出、15~16日)を東京・南青山のBAROOMで行う。100席の円形ホールだ。蘭乃自身が初めてプロデュースも手がける。

 「一緒に参加してほしい方に趣旨を理解してもらうため、悩みながら企画書を書いたり。

演劇性のある俳優としての踊りをお見せできれば」。Precious(英語)には「尊い、かけがえのない」の意味がある。男役を軸とする宝塚で、娘役は自己表現を抑制する傾向がある。「どこまで自分を出していいのか。外で活動していく中で、そのことに気づかされて。絶えず変わっていかなければ、と思うようになりました」

 やりたいことは尽きない。舞台にとどまらず「まだ卒業してから時代劇はなくて。和装にも強い関心があるので。ぜひ時代劇に出てみたいんです」。夢でなく近い将来、必ず現実に。攻める姿勢を失わず、走り続ける。(内野 小百美)

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