演歌歌手の石川さゆりが27日、NHKの音楽番組「tiny desk concerts JAPAN」(総合=6月1日深夜0時25分)に出演する。このほど収録が行われ、収録後に取材会を行った。

 「tiny desk」は米の公共放送NPRがネット展開し、全世界にブームを巻き起こした音楽番組の日本版。NHKのオフィスの一角にライブセットを組み、約200人のNHKスタッフが観客として石川の生ライブを見守った。

 普段、音楽番組では和装が多い石川だが、この日は私服のオリエンタルなドレス姿。「ヨウジヤマモトさんの15年ほど前のお洋服です。日本のアイデンティティーを大切にしながら、世界の皆さんにも楽しんで頂けたら」と語った。

 演歌・歌謡界から同番組に出演するのは初めて。オフィスに3畳ほどのミュージックセットを組んだ収録では、石川の地声がオフィスに響き渡った。「津軽海峡・冬景色」から始まったライブは、映画「PERFECT DAYS」でも披露された「朝日楼」、水上勉の小説がモチーフとなっている情念の歌「飢餓海峡」を披露。ピアノトリオバンド「fox capture plan」とコラボレーションした「ずいずいずっころばし」でセッションを楽しんだほか、「ウイスキーが、お好きでしょ」も美しいアレンジで聴かせた。

 デビューから52年、オフィスで歌を披露したことは初の機会だったという。収録を終え「何年やっても新しきことっていうのがあるんだなって、ワクワクして楽しかったです。人が働いてらっしゃる職場で歌うという…。

オフィスですから暗くなくて、手元まで全部明るい。歌を聴いている皆さんの一番後ろの方の顔まではっきり見えました」と新鮮な感情を抱いた様子。「私たちの歌っていうのは本当に、暮らしているみんなの生活の中にあるんだと実感しました」と語った。

 同番組はNHKワールドで海外向けにも放送される。石川は「海外に行っていろんなエンターテインメントを見たり音楽に触れたりしたとき、自分のアイデンティティーを大事にするというのが一番大切なことだと思う。それをそのまま届けるというよりは、いろんな(アレンジの)ファッションをまといながら日本の良さを届けられたら」と演歌とアコースティックの融合に意欲をみせていた。

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