日本相撲協会は28日、大相撲名古屋場所(7月13日初日・IGアリーナ)の番付編成会議と臨時理事会を開き、大の里(24)=二所ノ関=の第75代横綱昇進を満場一致で決めた。新横綱は茨城・阿見町の部屋で行われた伝達式で「横綱の地位を汚さぬよう稽古に精進し、唯一無二の横綱を目指します」と口上を述べた。

「唯一無二」は昨年秋場所後の大関昇進時と同じ。今年は相撲協会の財団法人設立100周年。節目に誕生した若き最高位力士は、土俵入りは師匠・二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)と同じ雲竜型で行う。

 力強く、はっきりした声で最高位への決意を込めた。午前10時11分。大の里は、協会の使者から満場一致での推挙が伝えられると「横綱の地位を汚さぬよう稽古に精進し、唯一無二の横綱を目指します」と堂々と口上を述べた。「緊張することなく言えた」。大関昇進時のこわばった表情はない。報道陣、関係者約200人が詰めかけた伝達式が終わり晴天の下、十両・白熊らがつくった騎馬に乗ると、この日一番の笑顔を見せた。

 昨年秋場所後の大関昇進時と同じ「唯一無二」を使った。別の文言も考えたというが「自分にはぴったりだなと思った。『唯一無二』という言葉しかない」と27日に、父・中村知幸さん(49)が好きな四文字に回帰。

前回は「唯一無二の力士」だったが、今回は「横綱」に変えた。

 一昨年3月に日体大を卒業してから、わずか2年。大器は年6場所制以降初土俵では最速、所要13場所での横綱昇進など数々の記録を塗り替えてきた。「(横綱は)この世界に入ってから絶対に目指すべきだと思っていた。そう簡単にはなれない番付。想像を超える2年だった」。今後は圧倒的な強さで記録を打ち立てるだけではなく、品格も兼ね備え、歴史に名を残すような大横綱を目指していく。

 横綱土俵入りは、師匠・二所ノ関親方と同じ雲竜型を選んだ。伝達式後の会見では最初、「親方としっかり相談して、また口にしたい」と濁したが、師匠から「(言っても)いいんじゃない?」と促され「雲竜型でいきます」と明言した。「親方が雲竜型なので部屋に入ったときから決めていた。憧れもあるし、親方から指導してもらうことも楽しみ」。29日に真新しい純白の綱を作って土俵入りの稽古を行い、30日に明治神宮で雲竜型を披露する。

 現役最多4度優勝を誇るが「まだ100点満点じゃない」と満足はせず、さらなる成長に自信を見せる。「(横綱は)未知の世界。これからもっともっと勉強して、見合うように頑張っていきたい」。比類なき強さと風格を身につけ、大横綱への道を歩んでいく。(山田 豊)

大卒は同郷・輪島以来「超えられるように頑張りたい」

 ◆大の里に聞く

 ―横綱が正式に決まって。

 「本当うれしい。より一層これからが大事」

 ―口上の他の候補は。

 「いくつかあったけれど、言っていないので言わない」

 ―練習はどのぐらい。

 「昨日、部屋のみんなでリハーサルをして、そこで発表した」

 ―目指す横綱像は。

 「今まで通り自分のスタイルを崩すことなく、口上通り唯一無二の横綱を目指したい」

 ―入門から約2年で横綱に昇進できた理由。

 「とにかく基礎を忠実にしてきた。以前はそこまで大事にしてなかったけどこの部屋にはいって腰割、すり足、四股、てっぽうを大事にやったことが身になった」

 ―大卒では輪島以来の横綱になった。

 「1つの目標だった。学生(大卒)出身は同じ石川出身の輪島関しかいない。偶然ですが同じスピード出世で同じ夏場所後に上がったということでタイミングも同じ。超えられるように頑張りたい」

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