山中慎介氏、武居由樹のパンチは「相手にとって読みづらい」…１２７秒勝利を解説

2025年05月29日(木)06:40

◆プロボクシング　▽ＷＢ世界バンタム級（５３・５キロ以下）タイトルマッチ１２回戦　〇王者・武居由樹（１回２分７秒ＴＫＯ）同級７位・ユッタポン・トンデイ●（２８日・横浜ＢＵＮＴＡＩ＝観衆４０００）

　ＷＢＯ世界バンタム級王者・武居由樹（２８）＝大橋＝が、同級７位ユッタポン・トンデイ（３１）＝タイ＝の挑戦を１回２分７秒ＴＫＯで退け、２度目の防衛に成功。昨年４月にリニューアルオープンした横浜ＢＵＮＴＡＩで初開催のボクシング興行のメインイベントを勝利で飾った。

ＩＢＦ世界スーパーフェザー級王座決定戦は、同級３位・力石政法（３０）＝大橋＝が、同級１位・エドアルド・ヌニェス（２７）＝メキシコ＝に０―３の判定で敗れ王座獲得はならなかった。

　　＊　＊　＊

　武居は見事だった。ユッタポンは王者の出方やパンチの当たる距離を探っていたはずだ。まずは「相手を見ていこう」としていた矢先の被弾だろう。武居のパンチは相手にとって読みづらい。距離が遠い上に独特のタイミング、角度から飛んでくる。それ故にＫＯは多い。１ラウンドのパンチはボクサーにとって非常に効くといわれる。最初にダウンを奪い、そのチャンスを逃さずフィニッシュへと持ち込んだのはさすがだ。

　武居は昨年５月に王座を獲得したジェイソン・モロニー戦、同９月の比嘉大吾とのＶ１戦と苦しい試合が続いていたが、このＫＯ勝利で王者としてワンランクアップできたと思う。世界戦での１２７秒ＫＯ勝ちは大きな自信につながったはず。次は１位との指名試合と聞くが、それをクリアすれば他団体の王者との統一戦に進むのが自然の流れだろう。

　スーパーフェザー級の力石は、現状やれることはやったのだろうが、ヌニェスの方が一枚も二枚も上だった。終始プレッシャーをかけながら上下に打ち分け手を出し続ける。力石も体は強いのだが、まったく問題にせず前に出続けてきた。この階級でベルトを狙う日本人ボクサーは多いだろうが、ヌニェスは最も崩しづらい相手だろう。（元ＷＢＣ世界バンタム級王者・山中　慎介）

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