◆プロボクシング ▽WBC&IBF世界バンタム級(53・5キロ以下)王座統一戦12回戦 WBC王者・中谷潤人―IBF王者・西田凌佑(6月8日、東京・有明コロシアム)

 WBC世界バンタム級王者・中谷潤人(M・T)が31日、神奈川・相模原市の所属ジムで、IBF王者・西田凌佑(六島)との王座統一戦に向けた練習を公開した。

 試合まであと9日。

中谷は練習前の取材で「練習も最終調整という形に入っているので、あとは感覚を落とさずに、研ぎ澄ましていくという段階に入っている」と説明。4月20日から約1か月、米国ロサンゼルスで強化合宿を実施。21日に帰国した後はスパーリングを中心に状態を上げているという。減量も「(規定体重まで)あと3~4キロくらい。筋肉量を落とさずに体脂肪はしっかり落とせた」そうだ。この日の公開練習ではシャドーボクシングでは軽快な動きを披露。サンドバッグ打ちではキレのいいパンチを打ち込んだ。

 「西田選手はすごくいいチャンピオン。個性のあるファイトスタイルで、ぶつかり合っていい試合をしたい。統一戦の舞台は違う雰囲気があるし、楽しみたい。ベルトが自分のところにあるとイメージしながら(力を)発揮したい」と中谷。WBCに加え、IBFと米国で最も権威のある専門メディア「THE RING」が制定するチャンピオンベルトの3本を手にする姿を思い描く中谷は今年、英国のボクシング専門ブランド『BOXRAW(ボックスロー)』とアンバサダー契約を締結。

テレンス・クロフォード、ジャーボンタ・デービス(ともに米国)、ドミトリー・ビボル(ロシア)ら世界の強豪らと契約を結ぶ注目のブランドだ。

 BOXRAWでは中谷とともに、西田戦に向けた新しい試合用シューズを開発。この日、中谷は実際に新シューズを履いて、お披露目した。中谷の意見を取り入れながら、何度も試作を重ねながら完成にいたったもので、形状や素材など細部にわたって、中谷のこだわりが生かされている。マッサージ担当に、練習後の筋肉の状態などを聞いて、意見を取り入れたりもしたという。

 「すごくフィットしています。足は繊細で、どこが引っかかるとか、実際に履きながら調整してもらいました。僕の意見もたくさん取り入れてもらいました」と中谷。アッパーは力が逃げないように堅めの素材を使いながら、通気が良くなるように硬めのメッシュも部分的に使われている。ずれることがないように足首が隠れるくらいの高さに調整され、靴ひもの長さや、ひもを通す穴の数も指定するこだわりよう。ソールは柔らかく、キャンバスのグリップ感もより強く感じるようだ。さらに、これまで使用していた靴よりも軽く、「疲れも軽減される感じ」と話した。

 宇宙の起源となった大爆発を意味する「ビッグバン」という愛称がついたが、シューズにもしっかりカタカナで刻まれた。これは中谷仕様として市販される計画があり、海外のファンも日本語が入ることで喜んでもらえるような配慮がされている。「今年の目標は『ワールドワイド』なので、より海外のファンにもアピールできたら」という思いが込められている。

 西田陣営がビッグバンに対抗して、その爆発を飲み込むように『ブラックホール』というニックネームを挙げた。中谷は「僕は自分の力を発揮するだけ。吸収するなら、してもらえれば」と笑顔で切り返した。グリップの利いた強打と軽快なフットワークを生み出す新シューズは、ビッグバンの力を大きく引き出す秘密兵器となりそうだ。

 戦績は27歳の中谷が30戦全勝(23KO)、28歳の西田が10戦全勝(2KO)。

 試合はPRIME VIDEOで生中継される。

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