プロボクシングの元世界4階級王者で、前WBO世界スーパーフライ級王者の田中恒成(29)=畑中=が4日、名古屋市内で会見し、現役引退を発表した。

 田中は会見で「きょうはここで、プロボクサー田中恒成は引退することをご報告させて頂きます。

引退理由は、けがが全ての原因。前回10月14日の試合前から両目の調子が悪く、試合前から両目の手術をすることを決めて試合に臨んだ。しかし、試合が始まってすぐ右目が見えなくなり、3ラウンド目には光が消えた。試合後、手術をし(成功したが)両目で焦点を合わせることができなくなった。次、試合をすれば失明、リングへ上がる道がなくなり、引退することを決めました」と説明した。

 田中は昨年2月、WBO世界スーパーフライ級王座決定戦を制して史上最速21戦目、井岡一翔(志成)と井上尚弥(大橋)に続く日本人3人目となる世界4階級制覇に成功した。同10月、初防衛戦でプメレレ・カフ(南アフリカ)に判定負けし王座陥落したが、試合2日後には、自身のX(旧ツイッター)で現役続行の意向を表明。「諦める理由や辞める理由は十分にあるけど『終わりは絶対にここじゃない』って、そう感じています」としていたが一転、引退となった。

 ◆田中恒成(たなか・こうせい)1995年6月15日、岐阜・多治見市生まれ。29歳。岐阜・中京高で全国4冠。高校3年時の2013年11月、プロデビュー。

15年5月、国内最速5戦目でWBO世界ミニマム級王座獲得。16年12月、同ライトフライ級王座獲得。18年9月、木村翔から同フライ級王座を奪取し世界最速タイと12戦目での3階級制覇達成。20年12月、同スーパーフライ級王座に挑んだ井岡一翔戦でプロ初黒星。24年2月、空位となっていた同王座決定戦を制し、4階級制覇達成。身長165センチの右ボクサーファイター。プロ通算20勝(11KO)2敗。アマボクサーの兄・亮明さんは東京五輪銅メダリスト。

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