大相撲で史上最多の優勝45度を誇る元横綱・白鵬の宮城野親方(40)が9日付で日本相撲協会を退職すると2日、同協会が発表した。同日に東京・両国国技館で開かれた臨時理事会で承認された。
宮城野親方の退職が正式に決まった。日本相撲協会はこの日の臨時理事会で、同親方から夏場所後に出された退職届を9日付で受理することを全会一致で可決。協会側は何度も説得を試みたものの「本人の意思が固かった」とし、「伊勢ケ浜部屋の継承および宮城野部屋の今後について」と題した約1400文字の文書を公表。退職に至った経緯を明らかにした。
宮城野親方は昨年2月に弟子の元幕内・北青鵬の暴力問題の監督責任を問われ、師匠を務めた宮城野部屋が当面閉鎖となり、昨年4月から弟子とともに伊勢ケ浜部屋に転籍した。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)の下で部屋付き親方として指導にあたっていた。関係者によると、同親方は処分から約1年後の5月の夏場所後には部屋が再興できるとの希望を持っていたが、3月の理事会でも議題に上がらなかったことから協会退職を考え始め、夏場所中に決意を固めていた。
理事会では所属する伊勢ケ浜一門の浅香山親方(元大関・魁皇)、宮城野部屋を預かっている伊勢ケ浜親方、両親方から毎場所ごとに状況を聞いていた協会の春日野理事(元関脇・栃乃和歌)から経緯が報告された。
浅香山親方は夏場所中に八角理事長(元横綱・北勝海)から「今後は浅香山部屋で預かること、準備期間も踏まえ、預かりの解除を11月場所後とすることを検討するように」と指示を受け、直接説得したが意思は変わらなかったと報告。春日野親方は執行部として「退職の意向もあってか、伊勢ケ浜親方から『弟子の指導に身が入っていないようだ』とも聞いていたので、早期の再開の話は出せなかった」とした。
理事会ではこれらの報告を踏まえ、弟子たちを引き続き伊勢ケ浜部屋に所属させることを決め、退職届を受理することになった。八角理事長は取材対応は行わなかったが、周囲に「大変残念だが、受理はやむを得ない」と話していたという。現役時代から問題行動が多く、協会規約を守ることなど、異例の誓約書に署名した上で親方となって4年足らず。21歳の幕内・伯桜鵬ら多くの弟子を残し、角界を離れることになった。(林 直史)