【箱根への道】東洋大が１１秒３６差で敗れた３つの原因…１８年ぶりに全日本大学駅伝逃す (2025年6月6日)

全日本大学駅伝関東選考会（５月２４日、神奈川・レモンガススタジアム平塚）で東洋大は次点の８位に終わり、１８年ぶりに本戦（１１月２日）の出場を逃した。１万メートルのレースを各校２人ずつ４組を行い、８人の合計タイム上位７校が通過。東洋大は７位の日体大と１１秒３６差で敗退した。その翌日、約２時間のミーティングを行い、現時点の力不足を受け入れた。箱根駅伝では、継続中として最長の２０年連続でシード権（１０位以内）を守っている。第１０２回大会駅伝（来年１月２、３日）に向け、巻き返しを誓った。 １８年ぶりに伊勢路出走のない秋を迎えることが決まった東洋大は、新春の箱根路で雪辱する覚悟を固めた。その第一歩は現状の「弱さ」を認めることだった。 全日本大学駅伝関東選考会の主な敗因は３つある。 〈１〉箱根４区３位の岸本遼太郎（４年）ら主力の欠場〈２〉第２組を走った薄根大河（３年）の失速〈３〉各校のエースが集う最終組で力負け。東洋大の選手たちは敗退という事実を、それぞれ真正面から受け止めた。 〈１〉について主将の網本佳悟（４年）は「ベストメンバーで戦えなかった。本来であれば、最終組は僕と緒方澪那斗の４年が走らなければいけなかったのに、２年に任せることになってしまいました」と反省した。 〈２〉の薄根は第２組で３３位。箱根では１０区で４校中２校がシード権、２校が予選会行きというシビアな戦いで９位を死守。修羅場をくぐり抜けたが、今回は実力を発揮できなかった。「僕の甘さが出た。実力不足でした」と率直に話した。 〈３〉の最終組はケニア人留学生や中大エースの溜池一太（４年）ら実力者がそろった中、新エース候補の松井海斗と箱根７区１２位の内堀勇の２年コンビがそろって自己ベストをマークも、第３組終了時点の８位から浮上できず。むしろ、７位との差は開いた。松井は「終盤に勝負する、という自分が得意とする型通りのレースをしてしまいました。序盤から留学生や溜池さんに食らいついて、勝負しなければいけなかった」とエースとしての責任を負った。 言い訳することなく、敗戦を認めた３人はこの悔しさを糧にする。松井は「箱根では２区を走るつもりで練習しています。前半から突っ込んで、後半も勝負できる力をつけたい」と話す。薄根は２年連続で箱根路での活躍を期す。「『復路のエース』と呼ばれるように頑張ります」と前を向く。 網本主将は「選考会翌日のミーティングで『全日本がない分、まず、出雲駅伝（１０月１３日）で上位で戦おう。出雲で戦えなければ箱根でも戦えない』と話しました。東洋大の定位置は３位以内と思っています」と強い口調で語った。酒井俊幸監督（４９）も「全日本がないことをプラスにとらえて出雲の後、もう一度、しっかり走り込みます」と表情を引き締めた。 第１０２回箱根駅伝は真価が問われる戦いになる。「悔しい思いを全員が持っています」と網本はチームの思いを代弁する。弱さを認める強さを持つ東洋大は「箱根への道」を愚直に走り続ける。（竹内 達朗） ◆第１０２回箱根駅伝の展望と東洋大の戦力 前回優勝の青学大、２位の駒大、３位の国学院大、４位の早大、５位の中大は今季も戦力が充実。同６位の城西大は「４代目・山の神」候補の斎藤将也（４年）を軸に戦う。同７位の創価大は関東学生対校選手権で活躍し、勢いがある。東洋大は前回、５区の宮崎優（２年）、６区の西村真周（４年）がともに区間９位と山の特殊区間は計算できる。同３区８位の迎暖人（２年）、同４区３位の岸本も前回以上の走りが見込める。１、２区候補の緒方、松井が強豪校のエースに食らいつけば上位争いが見えてくる。