◆明治安田J3リーグ 沼津3―1金沢(8日・愛鷹)

 アスルクラロ沼津が金沢を3―1で破り、2月16日の開幕戦以来、112日ぶりの勝利を挙げた。ルヴァン杯、天皇杯予選を含めた公式戦では16試合ぶり、リーグ戦では14試合ぶりの白星で、リーグ通算100勝目を飾った。

前半28分にDF宮脇茂夫(23)がFKを直接決めて先制。PKで同点を許した直後の後半9分にセットプレーからDF篠崎輝和(27)が勝ち越し弾。さらに新加入のFW白輪地(しらわち)敬大(23)のゴールで最下位から18位に浮上し、JFL降格圏から脱した。

 沼津が長いトンネルをようやく抜けた。約4か月、14戦ぶりのリーグ戦白星。試合終了の笛が鳴ると、約3000人が集まったスタンドから歓声と拍手が起こり、中山雅史監督(57)は選手、スタッフとハイタッチ。「安堵(ど)しかなかった。勝ち点3を取るのは難しく、厳しいことだと実感しました」と胸をなで下ろした。

 スコアレスドローが2試合続いていた状況を打ち破ったのはDF宮脇だ。前半28分にゴール前でFKを得ると、左足で壁の横を抜くグラウンダーの一撃。これで楽に試合が運べるようになった。後半7分にPKで追いつかれたが、その2分後には篠崎がセットプレーのこぼれ球を押し込んだ。

 なかなか勝てない4か月は「長かった」と2人は声をそろえた。チーム内で何度も話し合った。進んでいる方向が合っているのか迷うこともあった。そんなときに大きな支えになったのは「変わらずに応援してくれるサポーター」の存在だった。「2点目が入ったときの会場の盛り上がりは久しぶりでした」と宮脇。記念のリーグ100勝目に、篠崎は「先輩方が積み上げてきたもの。その節目にかかわることができてうれしい」と目を細めた。

 まだ今季2勝目。だが大きな1勝だ。J2鳥栖から移籍加入したMF渡辺綾平ら、新戦力が刺激になって「レベルアップしている」と指揮官は手応えを口にした。「上昇のきっかけにしたい。次の試合に向けて準備していく」と篠崎は前を向いた。

次はアウェー・北九州戦。これから沼津の反撃が始まる。(里見 祐司)

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