西田凌佑「完敗」、陣営は「バンタム級はこれで終わり」　右肩脱臼６回ＴＫＯ負けの中谷潤人戦から一夜明け (2025年6月9日)

◆プロボクシング▽世界バンタム級（５３・５キロ以下）２団体王座統一戦１２回戦 ＷＢＣ王者・中谷潤人（６回終了ＴＫＯ）ＩＢＦ王者・西田凌佑（８日・有明コロシアム） 世界バンタム級２団体王座統一戦で６回ＴＫＯに敗れた前ＩＢＦ世界同級王者・西田凌佑（六島）が９日、中谷潤人（Ｍ・Ｔ）戦から一夜明けて都内で会見した。右肩脱臼のアクシデントはあったが、「完敗」と認め、会見場では中谷と健闘をたたえ合った。陣営の六島ジム・枝川孝会長は、バンタム級は中谷戦が最後であると明言し、西田が現役続行ならスーパーバンタム級（５５・３キロ以下）で２階級制覇を狙う意向を示した。 西田は中谷戦で反撃に転じた３回、右肩を脱臼。偶然のバッティングによって目も腫れ上がり、陣営が６回終了時に棄権を申し出て、レフェリーが試合を止め、ＴＫＯ負けとなった。西田は試合後は会見を取りやめ、病院に直行していた。 以下は一夜明け会見の西田との主な一問一答。 ―試合を振り返って。 西田「まず始めに、応援してくださった方々、ありがとうございました。自分の応援が思ったよりも多くて力になりました」 ―右肩は。 「痛みがあるが、今のところは大丈夫」 ―中谷が初回から前に出てきた。 「想定内と言えばそうだが、ちょっとのまれたなというのはある。勢いと、序盤だったので自分も警戒していた部分もあって、見すぎた」 ―３、４、ラウンドは優勢だった。 「３、４ラウンド、（普段の）スパーリングで出ているいいリズムだった」 ―中谷と戦ってみて。 「勝つという気持ちが強い選手。自分よりそこが上回っていた。完敗です。何も言い訳はない」 ―今後は。 「そうですね、まだけががどんなものか分からないので。肩の状態もわからないけど、悔しい気持ちもある」 ―現役続行は。 「そこもちょっと考えたい」 以下は会見に同席した六島ジム・枝川会長との主な一問一答。 ―約半年かけて準備した試合が終わった。 枝川会長「まあ見てのとおり（西田は）痛々しい姿。結果を受け入れるしかない」 ―棄権の判断は。 「ボディーも当たり出して、３、４ラウンドいいリズムになってきた。このままいけば勝てるんじゃないかというのは、もっていた。５ラウンドに急に動きが悪くなり、６ラウンド終わったときに聞いたら、『肩が外れた』と。ちょうどそのタイミングで目がふさがってしまい、左カウンターしか狙えないので、私の決断です」 ―試合を振り返って。 「（偶然の）バッティングは、しょうがない。これで目がふさがってしまって“ダブルパンチ”。バンタム級はこれで終わりと神様が告げていると思って、ストップを申し出た。（ＳＮＳで）『感動した』、『勇気をもらった』、『やめないで』といろんなメッセージいただいております。それぐらい、いい試合をしたんだなと」 ◆西田凌佑（にしだ・りょうすけ）１９９６年８月７日、奈良・香芝市生まれ。２８歳。香芝中では陸上長距離選手。王寺工でボクシングを始め、３年時に国体フライ級優勝。近大時代含めアマ３７勝１３敗。卒業後、一般企業に就職も脱サラ。２０１９年１０月、タイでプロデビュー。２１年４月、沖縄で元世界王者・比嘉大吾に判定勝ちし、ＷＢＯアジアパフィシックバンタム級王座奪取。２４年５月、大阪でエマヌエル・ロドリゲスに判定勝ちし、ＩＢＦ世界同級王座奪取。身長１７０センチ、右利きの左ボクサーファイター。家族は妻と１女。